• "仲間"(/)
ツイート シェア
  1. 天理市議会 2020-09-01
    09月14日-03号


    取得元: 天理市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-29
    令和 2年  9月 定例会(第3回)     令和二年 第三回天理市議会定例会会議録(第三号)---------------------------------------  令和二年九月十四日(月曜日) 午前九時三十分 開会---------------------------------------議事日程(第三号)一 日程  日程第一 発議案第三号 天理市議会議会運営委員会の委員の選任について  日程第二 一般質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程のとおり---------------------------------------出席議員(十五名)                  一番   仲西 敏議員                  二番   石津雅恵議員                  三番   西崎圭介議員                  四番   大橋基之議員                  五番   寺井正則議員                  六番   鳥山淳一議員                  七番   内田智之議員                  八番   今西康世議員                  九番   榎堀秀樹議員                  十番   市本貴志議員                 十一番   岡部哲雄議員                 十二番    欠員                 十三番   荻原文明議員                 十四番   山田哲生議員                 十五番   東田匡弘議員                 十六番   加藤嘉久次議員---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のための出席者              市長       並河 健              副市長      藤田俊史              教育長      森継 隆              市長公室長    岡本匡史              総務部長     木村昌訓              くらし文化部長  吉川尚光              危機管理監    中本浩司              健康福祉部長   加藤道徳              環境経済部長   東  博              建設部長     岡林 功              教育委員会                       青木 仁              事務局長              監査委員                       山村結紀子              事務局長              会計管理者    松原眞紀子              上下水道局長   岩田全喜議会事務局職員ほか出席者              事務局長     藪内康裕              事務局次長    松原茂幸              事務局次長    奥田 彰              事務局係長    青木一朗              書記       上田泰司---------------------------------------                      午前十時零分 開議 ○議長(大橋基之議長) 休会前に引き続き会議をいたします。 議事に先立ちまして、去る九月四日に御逝去されました故飯田和男議員の御冥福をお祈りするとともに、謹んで哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと思います。 皆様、御起立をお願いいたします。     〔黙祷〕 ○議長(大橋基之議長) お直りください。 着席願います。--------------------------------------- ○議長(大橋基之議長) これより日程に入ります。 日程第一、発議案第三号、天理市議会議会運営委員会の委員の選任についてを議題といたします。 本案については、議会運営委員会の委員に一名の欠員が生じ、新たに委員を選任する必要があるため、天理市議会委員会条例第五条第一項の規定により、議長より指名することにいたしまして御異議ございませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(大橋基之議長) 御異議がないと認めます。よって、議長より指名することに決定いたしました。 議会運営委員会の委員に              九番  榎堀秀樹議員を指名いたします。 被指名人に対し御異議ございませんか。     〔「異議なし」の声あり〕 ○議長(大橋基之議長) 御異議がないと認めます。よって、被指名人を議会運営委員会の委員に選任することに決定いたしました。--------------------------------------- ○議長(大橋基之議長) 日程第二、一般質問を行います。質問時間は答弁を含め六十分以内となっておりますので、御了承お願いいたします。 質問通告が来ておりますので、順次発言を許します。 三番、西崎圭介議員。     〔三番 西崎圭介議員 登壇〕 ◆三番(西崎圭介議員) ただいま議長のお許しをいただきましたので、一問一答方式にて一般質問の場に立たせていただきます。 ただいま、皆様と一緒に飯田議員のために黙祷をさせていただきましたけれども、私の場合、それほど長い期間御一緒にさせていただくことがなかったので、願うならば、もう少し長い期間にわたって本市のために一緒に働けたらよかったなというふうに思わせていただいております。 また、新型コロナウイルスの感染拡大により、本市においても大変大きな影響を及ぼしているところでありますが、何よりもまず罹患された方々、そしてその関係者の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早くこの困難な事態が収束しますことを心より祈念しております。また、この困難に対し、あらゆる方々がその立場を超えて、私たちの安全のために力を尽くしてくださっております。医療従事者の皆様をはじめ行政関係者の皆様、また、感染拡大防止のために尽力されておられる全ての皆様に敬意を表するとともに、心より感謝を申し上げます。 行政、また市議会におきましても、新型コロナウイルス対策を最優先に進めていかなければならない状況ではありますが、しかし、同時にそのほかのことも進めていかなければなりませんので、本日は、本市におけるふるさと納税制度についてお伺いをしたいと思います。 行政におかれましては、本市の財政健全化に向けて取り組んでいただいているまさに真っただ中でありまして、先日示されました前年度決算におきましても、多くの指標において改善の傾向が見られ、将来を見据えた財政運営が進められていることと信じております。しかし同時に本市の課題としまして、人口減少、少子高齢化、寄附金の減少、本市における平均所得が昨年は少し上向いたというようなデータも見ておりますが、全体的に見ますと本市における平均所得が低下傾向にあることなどに加えまして、まだまだいまのコロナ禍の収束が見えてこない状況にあることなど、財政面における懸念すべき課題もあります。 そのような中にありまして、本市におけるふるさと納税事業が果たす役割とその重要性は今後ますます高まっていくものと思われます。ふるさと納税制度は、本市の魅力を全国に向けて発信する役割を持つ制度であるとともに、市外からの継続的な経済効果を本市にもたらす可能性がある制度ですので、将来に向けた方策についてお伺いできればと思っております。 そこで、まず本市のふるさと納税事業の現状をより正しく把握するために、昨年度の寄附金総額と、そこから経費などを差し引いた実質の収益、前年比などをお示しいただけたらと思います。 ○議長(大橋基之議長) 環境経済部長。     〔環境経済部長 東 博 登壇〕 ◎環境経済部長(東博) それでは、昨年度のふるさと納税の状況につきましてお答えさせていただきます。平成三十一年四月一日から令和二年三月三十一日までの一年間に御寄附いただきました件数は九千百九十一件、金額では一億一千四百五十四万八千三百三十八円となっております。平成三十年度に比べまして、件数にして約六千二百件、金額では約七千八百三十万円の大幅な増となっており、過去の実績から見ましても、ここ三年間は三千万円で推移していたものが、ありがたいことに昨年度初めて一億円を超える御寄附を頂くことになりました。本当にありがたいことです。 その要因といたしましては、ふるさと納税の受付をするポータルサイトを二つ追加し、ふるさと納税三大ポータルサイトと言われる大手三つのサイトからお申込みをいただけるようにしたこと、さらに、新たな返礼品やコース設定の金額の選択肢を増やし、皆様から御寄附をしていただきやすい環境が整ったこと、また、積極的な情報発信により、本市の取組について一層の可視化、見える化が進んだことなどによるところが大きいと考えております。 そして、もう一つ重要な点として、ふるさと納税の財政面での実質的な効果はどうなのかといった点がございます。昨年度には一億一千四百五十四万八千三百三十八円の御寄附を頂いたわけでございますが、返礼品の代金や配送料、サイトの利用料等、これらに要する経費は四千五百六十五万五千六百八十円であり、差引きしますと、歳入歳出のプラス面は六千八百八十九万二千六百五十八円となります。さらに、天理市民の方が他の市町村へ寄附をされますと、本市の市民税での税額控除が発生し、その額は四千百六十七万二千六百九十九円ありますので、それを差引きした制度上の実質的な効果は、昨年度はプラスで二千七百二十一万九千九百五十九円となっております。 以上でございます。 ○議長(大橋基之議長) 西崎議員。 ◆三番(西崎圭介議員) 東部長、ありがとうございます。ただいま報告していただいた中でも特筆すべきは、昨年度の本市ふるさと応援寄附金にお寄せいただいた寄附の件数が九千件を上回り、さらには寄附金総額が初めて一億円を突破し、過去最高額に達したという点であるかと思います。これはひとえにふるさと応援寄附金を通して本市に寄附をお寄せくださった全国の皆様のおかげでありまして、また、返礼品の提供などを通して御協力いただいている皆様あってのことであります。そして同時に、本市行政におきましても、ふるさと納税制度を一人でも多くの方々に御活用いただこうと工夫を重ねてきた結果として、金額、件数ともに前年比の三倍強に当たる寄附をしていただくことができたものであると考えます。 さて、ここからは市長にもお答えをいただければと思うんですが、冒頭でも申しましたように、本市におけるふるさと納税の重要性というのは今後ますます高まっていく一方であると考えられるのですが、ふるさと納税事業の活性化と、そして皆様に応援していただける天理市になっていくためにも、今後の方策についてお答えいただければと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) ふるさと応援寄附金の重要性については、いま西崎議員がおっしゃっていただいたことと私ども全く同じ思いでありますけれども、いまや本市にとって重要な自主財源、歳入の一つの柱だというふうに考えております。そして、ふるさと応援寄附金は、単純に歳入歳出の比較という効果の面だけでなく、やはり全国の皆様に天理のまち、天理の取組を応援したいという共感の輪を広げていくということ、また、返礼品の調達や特産品のPRにより市内の産業活性化を図るというような側面も大切だというふうに思っております。 御寄附いただいた方にお送りする返礼品が、制度が始まった当初は三十品目であったんですけれども、その後、市内事業者の皆さんの御理解、御協力を得まして、また天理ブランディング事業「めぐみ めぐる てんり」で作り上げた商品も加わりまして、現在では約二百品目の返礼品となっております。御寄附いただいた方を一層増やすためには、また、この特産品を一つ一つではなくて組み合わせて、一度に複数の魅力を楽しんでいただけるような開発もやっていく必要があろうと思っております。 そして、本市の豊かな自然、歴史、文化遺産、スポーツ、芸術など天理ならではの魅力を感じていただける体験型の返礼品でありましたり、あるいは市内の先進医療機関での人間ドック、あるいは宿泊や施設利用といったチケット型の返礼品など、今後も「天理市に寄附したい」、あるいは「天理に訪れたい」と思っていただけるような返礼品を積極的に開発していきたいと考えております。また、寄附金のポータルサイト等で、作り手の顔が見えるような形で特産品のPRを工夫いたしまして、そのことを通じて頑張っておられる作り手の皆さんに共感し、寄附につなげるといったことも今後力を入れていきたいと考えております。 また、ふるさと納税の認知や利用が広がる中で、本市のどこに魅力を感じられて御寄附をいただいたのか、多様化する寄附者のニーズを捉えて寄附金収入の増額と特産品の販路拡大につなげることも重要だと思っております。 加えまして、個人の方から頂く御寄附とともに、志ある企業から頂く、内閣府が進めております企業版ふるさと納税がございます。寄附を通じて地方自治体の行う取組を応援すると、税制上の優遇措置を受けることが可能でございまして、本年度から優遇幅というのが大幅に高められたところでございます。本制度を積極的に活用していくために、本年三月に国から地域再生計画の認定を受け、また今議会で承認案として上程いたしましたとおり、基金として活用できるよう「天理市ふるさと応援基金条例」を改正させていただいたところでございます。 また現在、県からの提案で、オール奈良県体制で企業版ふるさと納税獲得に向けての推進体制もつくっていこうということでございますので、県・市で連携をしながら、企業への情報発信に重点を置き、制度部分に加えまして企業版ふるさと納税の意義、社会貢献、あるいはSDGsの推進という部分も含めて、積極的な情報発信を行っていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 西崎議員。 ◆三番(西崎圭介議員) 市長、ありがとうございます。いままさに後半でおっしゃっていただきました企業版ふるさと納税につきましては、本市にとっての新しい挑戦になっていくのかなというふうに思います。特にいまおっしゃっていただきましたように、企業と手を取り合って社会貢献やSDGsの推進、地域とのつながりをさらに深めていくことにつなげていこうという部分に大変大きな意義があることかと思います。初期の段階においては、どれだけの企業にアプローチをしていけるのかという点がその後の大きな分かれ道になってくると思われますので、これから始まります本市の新たな試みにもぜひとも注目をさせていただきたいと思います。 一方で、個人版のふるさと納税につきましては、これも既に様々な取組をしていただいているところでありますが、先ほどおっしゃられておられました歳入歳出の比較だけで効果を測るものではないというのはまさにそのとおりであるんですけれども、それでもなお歳入と最終的な収益という部分に関しては、しっかりと数字を追いかけていただきたいというふうに思っているんです。数字を追いかけるといいましても、これはもうけ主義に走るとか返礼品競争に加わることを推進するというような意味は全くございません。ふるさと応援寄附金における寄附の金額や件数というのは、これは単に金額を表す数字や受注の数を表す数字というだけではなくて、同時にどれだけの方々に本市の取組を応援していただけているのか、この制度によって市内産業の活性化にどれだけ寄与できているのかということを表す指標としての数字でもあるという意味も持ち合わせております。また、最終的な収益というのも、お寄せいただきました寄附とそのお気持に対して、そうした寄附と気持が本市に対してどの程度の効果をもたらしているのかということを表す数字でもありますから、そういった意味におきましても、今後も寄附金の金額と件数を伸ばしていくということに対しては強いこだわりを持って推し進めていただきたいというふうに考えています。 また、事業の運営に関しては、寄附をしていただくのは当然市外にお住まいの方々になりますので、どのように全国へ向けて広報活動を展開していくのかという部分が最も重要な課題の一つであると言えますが、同時にマーケティング面においても、ぜひとも強化を進めていただきたく思っておりまして、具体的には、現況調査結果の的確な分析を基に顕在的なニーズを捉えていくだけではなくて、潜在的なニーズの掘り起こしを行った上で、返礼品の在り方を考えていくことこそが真に寄附者の皆様のニーズに寄り添うことにつながると考えております。また、返礼品については、既に返礼品開発や、先ほどおっしゃっていただきました体験型返礼品チケット型返礼品の充実などに努めていただいておりますが、加えて返礼品全体における価格帯の見直しはぜひとも行っていただきたいというふうに思っていますし、また、既存の返礼品に対して、さらにニーズに沿った返礼品にしていくためにも、金額や内容の見直しを行ったり、返礼品に何かしら新たな付加価値をつけていくなど、改善と改良を試みるという姿勢が求められると思います。また、一定期間にわたって受注が全くない返礼品についても、内容や金額の変更を試みたり、場合によっては返礼品から外すということも検討していく必要があるのではないかと思います。 さらには、リピーターをどのように増やしていくかという点も非常に重要な課題だと思っておりまして、具体的には、寄附を頂いた皆様へのアフターフォローの充実、より詳細なフィードバックを得るための仕組みづくり、寄附を頂いた方へ定期的、あるいはそろそろ納税の時期かなというような頃合いに合わせて改めて御案内をさせていただくなど、アプローチの方法を工夫することによってリピーターになっていただく方を増やしていくための方策も必要だと考えます。 また、ふるさと納税事業の活性化のためには、民間を含む外部に知識や指導を求めていくということも時に有効であるかもしれないというふうに思っております。いまいくつか提案をさせていただいた中には、もう既に取り組んでいただいている項目もあると思いますが、この点に関しては引き続き進めていただきたいと思いますし、また、いま挙げさせていただいたものの中には、もしかしたら新たな経費等を必要とする項目もあったかもしれませんが、この点に関しては将来の寄附金の増額見込みに対して、それに見合った先行投資になり得るかという視点から十分に御検討いただきたいと思っておりますし、またそうでなくても、そもそも大きな経費をかけずとも実施できることもたくさんあるかと思いますので、本市のふるさと納税事業活性化のためにあらゆる方向から前向きに検討していただきたいと思っております。 次に、事業体制に関してですが、ふるさと応援寄附金事業の担当は産業振興課というふうになっておりますが、先ほど市長の方からもおっしゃっていただきました企業版ふるさと納税については、これは総合政策課が主となって進めていかれることになると思いますし、また、ふるさと納税制度そのものが税制上の寄附金控除とセットになっておりまして、場合によっては国からの交付税措置等もあることを考えますと、これは総務部であったり、あるいは税務課などとの情報共有も必要になってくる事業であります。何よりも本市全体の歳入歳出に大きく関わってくる事業でありますので、これは改めてではありますが、あらゆる部署と立場を超えたところにある連携と協力の上に活性化を進めていただかなければならない事業であるという認識をここで改めて深めさせていただければと思います。 最後になりますが、ふるさと納税制度は、財源としては本市の重要な柱の一つとして大きくお育ていただきたいと思っておりますし、またもう一方で、ふるさと納税制度というのは、全国におられます一人でも多くの皆様に天理の魅力を知っていただくためのツールでありますし、一人でも多くの皆様に天理の魅力をお届けするという重要な役割を担っておりますので、市長はじめ関係各位の皆様には、今後も天理のすばらしさを全国に向けて発信し続けていただきたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 歳入歳出のバランスが大事だという点は、私もまさにそのとおりだと思っておりまして、やはり自主財源ということでありますので、これが仮に貿易赤字ということになれば、まさに本市が市民サービスをしなければいけない財源がなくなっていくということでございます。実際に、都市部の自治体においては、それによって自主財源がなくなっていってむしろ市民サービスが低下するというところも問題点としては指摘をされているところでございますが、今後も政府としてもこの制度は大事にされていくというふうに思いますので、その中でしっかりとそれを生かしていかないといけない。その中で大事なキーワードとしては、まず共感、寄附をしていただく方にしっかり共感していただけるような我々の取組であるのか、あるいはそれを伝えられているのかというところと、地域経済にどれだけしっかりと貢献できているのか、そこの部分をこだわってやっていきたい。その中においてマーケティングの手法も非常に大事だというふうに思っております。 最近の件数で見ますと、全体の約半数は関東圏からという状況であります。四分の一が近畿圏ということなんですけれども、返礼品の中では、発祥の地であり本市を代表する農産品の一つであります「ひらたねなし柿」というのが全体の約半数でございまして、本市のふるさと納税制度は多分に柿によって支えられているという点もあるわけでございます。ここに本市の豊かな自然、歴史を都市部の方々により深く発信していかないといけないというポイントがあるというふうに思っております。 そして、価格帯の見直しや新たな付加価値といった点で申し上げますと、令和元年度の県内市町村ふるさと納税受入額で見ましたら、寄附件数では県内で二番目なのでございます。ただ金額では五番目という形になっておりまして、件数と金額に若干開きがあるというところがございます。本市の返礼品の寄附コースが比較的少額なものが多いというところもあるんですけれども、今後は市内事業者の皆さんとも御相談の上、比較的高額な返礼品も増やしていくことで皆様に魅力が詰まった幅広い選択肢をお示しし、寄附額の増加にもつなげていきたいと思っております。ただ、やはりブランド牛があるとか、高額に見合った返礼品かどうかという部分のバランスとかも非常に大事でございますので、受け入れられるいいバランスのところをしっかりと攻めていくことが大事だと思っております。 また、リピーターの確保というところですと、市をPRするパンフレット等を、受領の領収書に発送時に同封するというようなことも大事でありますが、先ほど申しました生産者の顔が見える取組も非常に重要だと思っておりまして、これは取扱事業者の皆さんの御協力が必要なんですけども、そこに作り手の思いを感じられるとか、あるいはまたこの方を応援したいというような形でしっかりやっておられるところというのは一定の成果があるのかなと。これはアパレルブランドなんかでも、やはりいま非常に、作り手がどういう作業工程で、どんなふうに努力されているかというようなところをむしろ製品よりも重点的に発信することで非常に収益を上げられたというような事例もありますので、ぜひ大事にしていきたいなと思っております。 そして、事業体系ということでありますけれども、これはいま産業振興課が返礼品全体をしっかり事業者の皆さんと話をしていくというところで、いったん窓口にはなっておりますけれども、もとより市役所全体でしっかりとやっていかないといけない分野ではあるというふうに思っております。そこで、先ほど申し上げた共感というところで、何に対してそれが使われていくのかをどれだけしっかりと打ち出していくのか。これは、市内の現在の状況を全体的に俯瞰して、こういうところにしっかり充てていくんですと。ですから、自治体によってはコロナ対策とかというのをうたっておられる、あるいは災害時にそういうところを重点的にやられているところもありますが、本市としてその辺りはもちろん市役所全体で考えていかないといけない。特に、企業版ふるさと納税になりますと、何でもではなくて内閣府の方に届けております事業に対してというところになってまいりますので、その事業が、たとえば文化関係とか、あるいはそのスポーツ関係の事業に対して企業版ふるさと納税ということになりましたら、国の制度との関係性は総合政策課であるとか、あるいはこれまでの流れの中で、メカニズムの取りまとめを産業振興課がやるというところはあったとしても、それぞれここのプロジェクトに充てていくという主管課のところをもちろん加えながら、全庁的に体制を取っていかないといけないのはもちろんでございまして、そして企業に共感して協力しようというふうにおっしゃっていただくには、私も含めてみんなで働きかけていくということが非常に大切でございますので、またこの点、議員にも御協力をいただけたら大変ありがたいというふうに思っております。よろしくお願いします。 ○議長(大橋基之議長) 西崎議員。 ◆三番(西崎圭介議員) 市長、ありがとうございます。いくつかの点について前向きに御答弁いただきましてありがとうございます。 これは私の個人的な感覚も含まれるんですけども、この天理市という場所は、天理教であったり、天理スポーツ、山の辺の道はじめ豊かな自然があって、そしてそこに住む人々がいて、そうしたものを含めて、全国から応援をしていただけるような要素というのがたくさんある場所なんじゃないかというふうに感じております。応援してくださる方々のお気持に対して、それを受ける側としての本市の取組や姿勢というものには、まだまだこれからも発展させていく余地があるのではないかというふうに思いますし、発展していく余地の部分にこそ、本市の人々と、そして本市を応援してくださる皆様が共に支え合っていけるようなチャンスやヒントというものがたくさんあるのじゃないかというふうに思っておりますので、今後も取組を続けていただきたいと思いますし、協力させていただけることがあればさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
    ○議長(大橋基之議長) 次に、一番、仲西敏議員。     〔一番 仲西 敏議員 登壇〕 ◆一番(仲西敏議員) ただいま議長の許可をいただきましたので、通告書によりまして一問一答方式で一般質問をさせていただきます。市長、理事者並びに関係各位には、どうぞよろしくお願いいたします。 初めに当たりまして、新型コロナウイルスに罹患された方々に心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息と皆様方の御健康を御祈念申し上げます。 それでは、質問の件名でございます。一点目が本市財政について、二点目が行財政改革について、以上二点でございます。なお、答弁によりましては質問を深めてまいりたいと思いますので、御了承のほどよろしくお願いいたします。 初めに、本市財政についてでございます。御案内のとおり、新型コロナウイルス感染症は世界、我が国、また奈良県、本市におきましても感染者の累積が非常に多くございまして、いまだ本感染症の事態の収束は見えないような状況でございます。対策としまして、いろんな法律、指導もございまして、不要不急の外出自粛や往来の制限、また事業者への休業要請等、企業の生産活動や住民の消費活動に対し、過去に例を見ないマイナスの影響を与えております。国民生活にも本当に苦しい状況をもたらしております。景気は急速に悪化しております。極めて、本当に厳しい状態にあると思います。また、本市の税財政においては、想定を超える大きな減収が懸念されます。財政の安定的な運営に大きな支障が生じることが見込まれます。このような類を見ない危機に直面している中、市行政には、感染拡大防止対策及び感染終息後の景気回復、需要喚起対策はもとより、地方創生、人口減少対策をはじめ、福祉、医療、防災・減災対策なども鑑みた、一体となった政策が求められております。住民の安心・安全を支える基礎的な行政サービスの確保、その基盤となる市行政の確立は必要不可欠でございます。 このような状況を踏まえまして、法令基準にのっとり、科学的・合理的な分析による財政診断、その結果が非常に重要でございます。それについての本市の財政状況は本当に健全なのでしょうか。現状として、新しい会計基準にのっとって診断をされております。限られた財源を賢く使う取組ということは極めて重要でございます。国の指導もございますけども、本来これは基礎的なものでございまして、その結果、どのような状況なのかお聞きをしたい。最初の質問でございます。統一的な会計基準が設けられ、本市もそれに従って整備が完了しておりますが、現在の本市財政を統一基準で診断した結果はどのようなものでしょうか。お聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ただいま仲西議員から御質問がございました、国の統一的な会計基準にのっとって本市の財政状況がどうなっているか、令和元年度の一般会計の決算について申し上げますと、歳入総額が二百五十七億七千九百七十一万円、歳出総額が二百四十五億五千五百五十八万円でございますので、まず実質収支額は約十一億九千六百九十六万円の黒字決算となったわけでございます。このうち六億五千万円を余剰金処分金として財政調整基金に積み立てております。そして、財政健全化判断比率でございますけども、まず、実質赤字比率及び連結実質赤字比率とも黒字でございます。そして、実質公債費比率が、早期健全化基準というのは二五%とされておりますが、それに対して本市は一〇・六%、そして将来負担比率は、早期健全化基準が三五〇%というふうになっておりますが、こちらも六四・八%ということでございますので、ともに大きく下回っておりまして、健全性は保っているところでございます。 次に、借入金でございます。市債の残高でございますが、こちらも前年度に比べて約十一億六千万円減少し、将来の負担を軽減したところだと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) ただいま市長から健全でありますよというふうな数値はお聞きいたしました。それは結構でございます。ただ、その辺のより深い診断が私は必要だと思うんです。財政健全化判断比率の指標についてはきちっと分析をされておりますけども、たとえば、実質公債費比率などは基本的に基準財政収入額、いわゆる交付金の算入の対象に含まないというような項目でございまして、そういうようなところも含めまして、健全化指標では健全というような結果でございますけども、将来に向かっては、財政についてはまだまだ予断を許さない部分があるのかなと。特に経常収支比率、財政の弾力性というのは本当にほとんど一〇〇%を超えているような状況でございまして、これは同規模の自治体の類似団体と比較をしましても、この部分については非常に悪いというふうに私は考えます。より財政診断のところを吟味されて、その辺を市長はどのように全体的に把握されているのか、お聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) より深くということでございますので、まず、財政健全化判断比率四指標のうち、実質公債費比率と将来負担比率について述べますけども、これは将来世代への負担を示したものであります。実質公債費比率は、他会計の繰出し等も含めた実質的な返済額等の大きさを、直近三年で平均を表したものでありまして、この数年大きな変化はなく、令和元年度の一〇・六%は県内市町村の平均的な数値ではあろうかと思っております。そして、将来負担比率は、出資法人等も含めて将来負担する可能性のある負債の大きさを表したものでありますが、令和元年度は土地の売却収入による基金残高が増加したことに加えまして、職員数減少により退職手当の負担見込額も減少したことにより、前年度の七八・八%から一四・〇ポイント改善したというところであります。この将来負担比率については、私の就任時一〇〇%を超えておりましたので、それが徐々に改善してここまで来たということでありますが、今後大きな案件もありますので、それに向けてまずここまで何とか絞り込んできたというのが現状であろうかなと思っております。 そして、議員から御指摘ありました、財政構造の弾力性を測る指標であります経常収支比率、これが悪いがために、常に天理は全国的に財政が悪いということを言われ続けるわけなんですが、平成三十年度の一〇四・五%から令和元年度は一〇三・九%でございますので、若干改善したということでありますが、一〇〇%は超えておる。市税や地方交付税等の経常一般財源が増加したというところに加えまして、財政構造改革の取組により人件費を約三億円削減したというところがあります。ただ、物件費、扶助費、特に福祉関連等扶助費、繰出金等が増加したことによりまして、三億円削減し、税、地方交付税が増えたというところがあるんですけれども、〇・六%の改善にとどまってしまうというところで、依然として高い水準で推移をしております。経常収支比率の平成三十年度の全国平均は九三・〇%、類似団体の平均が九三・七%でありますので、これはいずれも本市の方が高い数値となっておるんですけども、経常的な収入が低い、そして、人件費、公債費、補助費等の経常経費が高いというところで来ておるわけでありますが、市民サービスがどれだけ保たれているのか、あるいはその過去の投資とか、そういったこととのバランスの下にこの数字が出ておるというところをぜひとも御理解いただきたいと存じます。 たとえば、本市は他団体に先駆けて下水道の整備を行ってきたところであります。また、経常収支比率が高いというところの中に人件費という話がありますが、そこは教育福祉部門が圧倒的に高い形になっておる。しかしこれが重点的に取り組んできた結果、施設も充実しているということでありますので、市民生活にきめ細かい施策が実施されている裏返しとして、経常費用が大きくなっている部分がある。ですから、本市の強みの部分もあるわけでありまして、ここだけとにかく改善せよという御趣旨であるならば、徹底的にそこの部分の市民サービスを低下させれば、その数値は改善するんです。それはお望みでしょうか。 さらに、本市特有の事情として、まちづくりの基盤整備の重要な財源としてきた寄附金が臨時的な収入として区分されているところでありますので、これは算定の基礎から除かれているというところも恒常的に比率が高いという要因の一つになっているわけであります。ただ、やはりこのやりくりが非常に厳しい中で、先ほど申し上げました昨年度の決算に関しては黒字を十一億九千万円出せているというところはしっかりと見ていただきたいというふうに思っておりますし、我々も、経常的な収入をしっかり増やす取組と経常的経費の抑制はしっかりとやっていかないといかんと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 市長からいろいろ詳しく御答弁いただき、ありがとうございます。私は市民サービスを下げてまで財政を健全にしてということを言っているのではございませんで、やはり市民サービスと財政のバランスというのが当然、身の丈に合った政策の全体最適のお話をさせていただいていますので、僕は市長と同じ、共通項があると思うんです。ただ、いま市長から経常収支比率をはじめ、もうちょっと深い診断結果をいろいろお聞きしました。それはそれで結構なんですけども、これは絶えずやはりマネジメントをしていく必要はあろうかなと思うんです。なぜそうかといえば、天理の場合は、大きな企業もございません。他市と比べましても、財源が歳入の部分で非常に苦しいような状況も私は考えます。だから、そのベースの上に施策を組み立てていかれるというしんどい状況でございます。これも理解した上でお話をさせていただいております。 次の項目に入りますけども、今年度末の収支見通しでございます。これは私、初めにお話しさせていただいたコロナ禍による税収の落ち込みは、まだいまの段階ではなかなかはっきりした数字は出ないと思うんです。ただ、減ることは確かだと思うんです。雇用も企業の収益も落ちておる中で、従来のような税収を確保するというのはとんでもない問題でございまして、どれぐらい落ち込んで、いまの当初予算を確実に執行なさっていると思うんですけども、当然この収支の見通しについては、この段階できちっと、やっぱり首長たる市長としてのお考えをお聞きしたいと思います。 以上です。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 非常に難しい御質問をいただいたというふうに思っております。GDPも、四月-六月期というのが出ておりましたけれども、ここから先どういう形で推移していくのかというところを相当のエコノミストの方も頑張っておられるところだと思います。なかなか数値で示すというのは難しいところもあろうかなと思います。 しかしながら、議員御指摘のとおり、やはり個人や事業者の収入に直結する市税等に関しては、落ち込みが想定される。それに加えまして、公共施設等の使用料などの減収というのも見込まれます。あるいは感染対策ということで、天理教御本部にも相当帰参を制限いただいているところでありまして、これは市民の安全を確保するというところもありますが、当然収入面にもこれは跳ね返ってくるわけでありまして、なかなか寄附金についても、これまでの想定どおりにいくかというと、それは難しいところがあるんだろうというふうに思っておりますので、現状では相当程度の影響があるんだろうということにとどめておきたいと思っております。 そんな中、働き方改革による人件費の削減、業務の効率化をしっかりとやっていかないといけない、あるいは扶助費などの義務的経費、しかしこちらの方は歳出の削減というのはやはり難しいかなというふうに思っております。むしろこのコロナの中で孤立されておられる方々であったりとか、コロナ以外の面で困っておられる方々、あるいは閉じ籠もってしまう状況の中で、健康状態への悪影響も考えられますので、歳出に関してはむしろこの辺りというのは増えていく要素がいくらでもある。そういったところをいまは地方創生の交付金なども活用しながら、議員の御協力もいただいて、手は打ってあるわけでありますけれども、やはり今後の状況というのはしっかり見ていく中で、今年の決算に関してはもともとの見通しよりも相当厳しい状況は出てくるんだろうと、それを受けて来年度以降のことはしっかりと考えていかんと駄目だと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 本当に難しい質問で、なかなか答えにくかったと思います。それが分かれば何でも対応なさるわけですけども、これが見えないところで、いまの段階では非常に苦しい状況だということは、私は把握させていただきました。 それを踏まえまして、いまの話は今年度、令和二年度予算のことでございまして、いままさにこれから、令和三年度の、次年度予算の方針を立てる時期に入ろうとしております。コロナの感染症は、終息は見えないんです。来年もこれが続くというのを想定せざるを得ないんです。税収は落ちる。令和二年度のように、市民サービスも含め、いろんな経済振興、社会福祉関係の経常的な義務的経費は増えます。ただ、当然そこに方針を例年非常にきっちり立てておられるけども、いまここは本当に厳しい吟味をされて取り組む必要が絶対あると思います。そうしないと、予算が基本的に立てられないような状況になると思うんです。ただ、これは各理事者所管の方が来られていますけれども、これから本当に困難な状況を迎えられるわけで、ここにやはり市長の大方針というのをまずありきで、それを踏まえて、各トップダウンでせざるを得ないのと違うかなと。ボトムアップじゃなしに、トップダウンで施策はやっぱり出していく中で数字をはじいていく、これが僕は次年度予算編成の素地になるんじゃないかなと私は思うんです。だから、天理の特色も踏まえて、多々ございますけども、これは後段で話しますけども、義務的経費は当然なしにはいかん。だけど重点化する部分をより重点化するような形で、方針、方向をやっぱり示す必要がございます。その辺の予算編成方針の首長としてのお考え、方向をぜひお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 極めて簡潔に申し上げますと、どれだけ上手にやりくりするかに尽きてくるかなというふうには思っておるんですけれども、今回のコロナ対策についても、天理は金がない、ないと聞いていたけども、よくあんな天理支え合い券とか全世帯に配れたなとおっしゃっていただくわけでありますが、これは国の交付金を活用した、ここまでは同じですけども、タイミングがよかったので、県の交付金ももう一度得まして、それで二回出すことができた。ですから、今後、新内閣が近々に成立するでありましょう。そこで立てられてくる様々な政策の方向性をしっかりと分析していきながら、コロナ対策ももちろんでありますが、その他地方創生、あるいは国土強靱化といったような部分についての重点項目をどれだけ読み込んで、今後我々がやっていかないといけない施策にうまくつなげていくのかが非常に大事だというふうに思っております。 そして、本市がやらないといけないことで申しますと、南・北中学校、これは子どもたちの安全を確保するために老朽化対策というのは必須であります。幼稚園、そして保育所の再編、これも最適化債というのを使えるがゆえに、今回前栽の幼稚園のこども園、あるいは南保育所の改装も、相当我々の負担を軽減してやれる形になるわけですが、加えて新しいクリーンセンターの建設というような事業もありまして、非常に厳しい状況が予想されるところに、大きな宿題が明確に一個あるわけでございます。ですから、そこをどれだけ負担を平準化するかというような部分に知恵を使っていきながら、それ以外、先ほども申しました国・県の動向も踏まえつつ、まず市民の皆さん方がいま直面している困難を少しでも和らげていく、あるいは頑張っていこうというようなところを支えていけるような形でやっていかないといけない。そのために、これまでも「共に支え合うまちづくり」を第六次総合計画の中でも掲げてまいりましたが、一層、官が直接責任を持って行うサービスと、官民協働で一緒に市民の皆さんと汗を流していくというところも含めてやっていかなければならないというふうに思っております。そして、よりスリムで筋肉質な財政構造への変革も待ったなしでやっていかないといけないわけでありまして、体制あるいは仕事のやり方、行政改革も引き続きしっかりとやっていきたいと思っております。 先ほど決算見通しでもなかなか具体的な数字を上げることが難しいというふうに申しましたが、今年度から来年度にかけては非常に不透明な状況である。不透明な状況の中で、やらないといけない大型のものというのはもう明確に見えているという状況であります。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 市長のおっしゃった課題は、私も共有させていただいております。それも分かった上でお聞きをしておるわけで、共有させていただいたところで、具体的な話というような施策のところでございますけども、先ほどの最適化債というような国の制度を最大限利用されて施策をされているということは結構だと思います。いま現在、財政構造改革二〇一九の第一ステージだと思いますが、財政構造改革を含む本市行革のいまの進捗状況をお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 改革の状況ということで、第一期の集中期間というのを令和元年度から令和四年度ということで、メインテーマとしては、「総人件費の削減」をはじめ、働き方改革をしっかりやっていこう、あるいは官民の役割分担の見直しから事務事業の改善に取り組もうということでやっております。その初年度の令和元年度決算では、組織機構の大幅な見直しと働き方改革により、先ほども申し上げましたとおり約三億円の総人件費の削減を実現いたしました。そして、各種事務事業等の見直しにより削減目標であった四億円を超える成果は得ることができたというふうに思っております。 しかし、財政状況というのは常に変化をしておりまして、くり返しになりますが、コロナの影響も大きいというところを考えますと、今後の状況を的確に見極めながら、財政シミュレーションの見直しも必要になってくるでしょうということの下にさらなる改革を進めていきたいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) しっかり構造改革、行革を進めていただきたいと思います。 次の項目でございますけども、これは過年度に総務省の方から地方行政サービス改革に係る、全国の自治体にこういう通達が参りまして、報告を求めております。本市もそれに応えて地方行政サービス改革のありようを報告なさっておりますので、それについて市長の答弁をお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 地方行政サービス改革に係る本市の報告ということですけれども、民間委託については、学校給食や一般ごみ収集、し尿収集などは、いち早く本市は導入しておりまして、改革効果が得られてきたところであります。そして、持続可能な形でサービスを提供するための「スマート自治体」の体制を整えるということでは、複数自治体共同で実施する「自治体クラウド」、こちらは山添村と御一緒にいま導入に向けて作業をやっているところであります。また、実証実験で一定の効果を上げましたRPA、あるいは公共施設等総合管理計画に基づいた公共施設の柔軟な活用、こういったことについても一層取組を進めてまいる所存でございます。 指定管理については、体育館施設、トレイルセンター、火葬場、そして駐車場、天理駅前広場コフフンなど制度導入している施設はそれぞれ順調な施設運営が実施され、年度末に実施するモニタリング調査でも市民満足度は一定の高い位置で保たれていると承知しております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 報告内容を見せていただきましたけども、本市が地方行政サービスも非常に取り組んでおられるということは見てとれます。敬意を申し上げたいと思います。 だんだんと本題に入ってまいりますけども、いろんな改革をする中で一番大きなものがやっぱり公共施設のありようなんです。いわゆるダウンサイジングというか、七万五千人をピークに本市の人口は減ります。これは確実に減ります。それで、入れ物はどうするねんという話でございますので、そこに公共施設総合管理計画を策定されました。基本方針も示されて、個別施設計画がこれから進められる。また、総合管理計画の見直しも取り組まれる。それは結構なんですけども、やはり現状の建物、箱物がそのままではいかんわけです。いわゆるファシリティの部分で、これはまた後でも取り上げますけども、いまの公共施設のありようも含めまして、本市で取り組んでおられる総合管理計画、個別計画の策定、実施、また見直し等について市長のお考えをお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員に御指摘いただきましたとおり、過去に整備をされたあらゆる施設のハード面のストックを全て維持するということは、国全体として不可能であるというふうに言われて久しいわけであります。仮にそれをやろうとしますと、国全体のストックを維持する補修・改修等だけで国交省の予算を全て使い果たしても足りない状況が二〇三〇年代には出現するというふうにも言われております。 そういった中で、本市については早い段階からファシリティ・マネジメントの考え方を導入してきているつもりでありまして、たとえば議員御地元の前栽小学校についても、全てを建替えでなく、使える部分は使いながら、将来の改築時に柔軟な対応ができるようにという形での整備を行いました。そして、現在取り組んでいる南・北中学校の建替えも、将来の人口推計等を想定して適切な床面積となるようなダウンサイジングを図ったところであります。あるいは、やはり建て替えるタイミングはそういうことをやりやすいんですけども、そうじゃないときは、元の大きさはそんなに変えられないので、空いたスペースなどに、直近では柳本小学校に柳本の学童を統合したというのがございますけれども、その施設を複合化する。そこで単に経費削減のために同居していただくというよりも、つながりをつくっていって政策間連携を図っていくというのが現在本市の行っている方向性であります。その他、丹波市幼稚園、南保育所の統合、あるいは前栽幼稚園のこども園化などもこういった流れの一環でありまして、個別施設計画策定において、こういった再編計画に加えまして既存施設の長寿命化、予防保全も検討し、将来必要となる修繕費用、改修費用、維持管理費用なども試算をする中で、いかに持続可能な形でやっていくかというところを引き続き取り組んでいきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 方向性は結構だと思います。ただ、よくあるのは総論賛成で、各論というのか、自分らに直接関わるところがあればなかなかしんどいような状況が全国状況から見てとれます。過年度、同僚議員とともに千葉県習志野市に視察に参ったときがございまして、まさに公共施設のありようについての取組を先進的になさっておられます。そこで一時間半ぐらいにわたっていろいろ担当者の方からお聞きしました。非常に僕、参考になると思うんです。何が一番大事かといったら、市民の合意なんです。市民の理解と協力をいかに取り付けたか。これは本当に一朝一夕にはいかんと思うんです。日常的に市民とともに学習会をし、市民とともに課題を共有化する。そういうことを日常的にされている中で個別施設計画を進められた。反対運動もあったように聞いています。だけど、全体的には施設のありようについての市民の理解を得られたというような状況もお聞きしました。本市におきましても、具体の話になりましたら、その辺の部分をやっぱりきちっと施策の中でスケジュール管理も含めまして取り組んでいく必要があるんじゃないかな。市民の理解がなかったらこんなことはなかなかできないように私は考えます。その辺のところを踏まえまして、ただ、財政のいろんな手法については、B/C分析とか費用対効果分析、アセットマネジメント、多々ございます。そういうヒト・モノ・カネの経営資源の全体最適化を図りまして、市民の顧客満足度をいかに高めていくのか。それに向けて首長の、市長の所感、お考えをお聞きできますか。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) いま議員がおっしゃっていただいた、総論は賛成してもらえるんだけれどもというところはまさに私、申し上げたかったところを議員もおっしゃっていただいた。ですから、全体を最適化する中で市民サービスを上げましょうというところまでは皆さんそのとおりだということなんですけれども、やはりいままで使っておられたものから何か変わるということになりますと、何でここやねんと、あるいは何でいまやねんという話が必ずやってまいります。ですから、その先の結果までしっかり現実に見せて、数年前に遡ってどうでしたかと聞ければ非常にやりやすいんですけども、なかなかそれが難しい部分があるというところからすると、議員がおっしゃったように、我々としてはどこまでも一生懸命説明を尽くしていきながら、一人でも多くの皆様方に御理解をいただけるように話をしていくしかない。 先ほども例に出しましたけれども、学校内に学童施設を入れるということについても、当初相当のハードルはあったわけでありますが、やってみた後になると放課後と課業中の連携も含めてよかったねということになってくるわけであります。現在やっておりますのが、令和三年度より開校予定の福住小中一貫校、こちらについてはまちづくり協議会の方でもよく意見交換をさせていただきましたので、いま非常にいい形で一貫校に向けて御準備をいただいているかなと思っておりますし、また、福住中学校の跡地の在り方についてもいろんな事業者から御提案をいただいているところであります。幼保の再編についても、これは一つには予算的要素で、最適化債が来年度までに着工するものだから使えるというのは、財政上は非常に大きい。ですので、前栽の幼稚園にしても、あるいは南保育所が古くなってしまっている場所も、いまだからやれるというところがあるんですけども、なかなか、なぜいまなんだというふうにおっしゃる皆さんに対しては、予算的な部分だけ御説明をしても、かえってその心証を損ねてしまう部分もあるわけでございます。そういったときには、やはり我々はどれだけ状況が変わる部分の利用者の皆さんの負担感を減らせるかというところをまず一生懸命やって、それをどこまでも丁寧に説明していく。あとは決意を持ってやり、そして結果的に良くなるというところについてどれだけ責任感を持てるか。そこの腹決めの問題というのも非常に重要だと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) こういう話は市長と何遍もディスカッションをさせていただいています。最適化債、これは本当に私、思うんです。令和三年が期限ということで、延びるかもわからないということなんですけども、福住小中学校で集約施設をされる、それを経たところで本当はもっと全面的にしていく必要が私はあろうと思うんです。そこへ行くまでにはステップが相当あろうと思います。 最後の項目に入りますけども、これは今後に向けてというような表題にさせていただきました。経営資源を全体最適化で顧客満足度を高めると言えば簡単なんだけど、これをどうするねんというのは、私は三つあると思うんです。いわゆるローカル・ガバメント、これは地方政府という考えでございます。地方自治体でございますけども、法律の枠内で地方の立法権、地方の自主権を最大限使いまして、エビデンスに基づく政策決定の考え方、これは避けられないと、僕は必須条件だと思うんです。それでいま、デジタル化の進展がございます。スマート自治体への転換、ルーチンワークの固定事務とかはロボットがするような時代でございます。本来、人が人に対する行政行為はもっと高度に、内容の伴ったものにシフトしていく、企画部門、そういうところに入っていくんじゃないかな。 最後に、三つ目に公共私という言葉がございます。いわゆる公と私の、この辺の対立構造じゃなしに、住んでいるこのまちを、どのようにすばらしいまちを持続していけるのかということは、行政であろうと民間であろうと、官であろうと民であろうと一緒でございますので、これを多様な主体の参画、一市民、一事業者、一団体、自分が住んでいるまちに帰属意識を持ちながら、何が社会貢献できるのかというふうな地域社会の形成に向かって踏み出していく必要があろうかなと私は考えます。 そこでお聞きしたいのは、これからの社会を見通すと、全国的に進行する人口減少、高齢化、価値観の変化、多様化、住民ニーズや地域課題は多様化・複雑化していくことが見込まれます。こうした中で、住民ニーズに対応するためには、コミュニティ組織、NPO、事業者、行政等の多様な主体が地域におけるサービスの担い手として関わること、公共私によって活力ある地域社会をグランドデザインしていくことが求められるのではないでしょうか。各自治体、本市は今後、ヒト・モノ・カネの経営資源が必ず制約されてまいります。それを踏まえると、必要な公共サービスを持続していくために、これら地域社会の多様な担い手と協働し、公共私が相互に連携、協働する場、プラットフォームを構築することが必要でございます。人々が快適で安心な暮らしを営んでいけるような持続可能な地域社会を形成していくことが期待されると私は考えますが、市長の御見解をお聞きしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) いまの点は全くおっしゃるとおりだというふうに思っておりますので、全面的に賛同させていただきます。あらゆる市民サービス、これから量的にもやはり大きくなってくるとともに、きめ細かさも求めてこられる中で、先ほど申しました経常収支比率の状況でございますので、直に我々がやっていくというところは非常に難しい。そういたしますと、社会のために、あるいはその地域のために志を持っていただいている地域の皆さん、それが本市の場合であれば大学であったり、あるいは宗教法人の場合もありますけれども、そういう皆さんとどれだけしっかりと連携をしていけるのかというところだと思っております。 若干例を出させていただきますと、櫟本公民館、夢応援プロジェクトの皆さんによって子どもたちと地域をつないでいただいて、結果的にこれまで公民館を使っていらっしゃった皆さんも子どもたちの声を聞きながらいろんな活動ができる状況になった。あるいは柳本駅舎、これも無人駅であったものが、地域の皆さんの協議会によって非常に地域コミュニティの場として駅というものが再び位置づけられてきた。ですから、これをどれだけ我々はまち全体に広げていけるのかという考え方の下、我々はその場だったり、あるいはなかなか当事者同士で難しい部分について橋渡しをして、いかにその地域のために働こうというふうにおっしゃっていただける方々が動きやすい状況をつくっていけるのかというところに完全にシフトしていかないといけない。だから、そのためには初動の部分で我々が一緒に動かせていただく部分も大事ですけども、やはりそこから先、しっかりと展開をしていけるような形を初めから計画していって動いていくのが非常に大事だと思っております。そういった思いを込めて、「多様な連携で共に支え合いのまち」を第六次総合計画の中ではうたっているところでございまして、今後もその方向で取り組んでいきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 仲西議員。 ◆一番(仲西敏議員) 市長と総論は全く一致しました。これをどう進めていくかについてはいろいろと議論がございます。今後もまたいろいろとディスカッションさせていただきたいと思います。 以上で質問を終わりますが、御答弁いただきました内容につきましては今後しっかり取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、降壇いたします。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議長) 次に五番、寺井正則議員。     〔五番 寺井正則議員 登壇〕 ◆五番(寺井正則議員) 議長の許可を得まして、質問通告書のとおり一問一答方式にて一般質問を行います。理事者並びに関係部局におかれましては、的確で前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。また、今回のコロナ禍の状況におきまして、お亡くなりになられた皆様の御冥福を御祈念しますとともに、いまなお闘病されておられる方々にお見舞いを申し上げたいと思います。そして、一日も早いコロナ禍の終息を願うものであります。そして、このコロナ禍の中にあって御尽力、御苦労いただいている全ての方々に心から敬意と感謝を申し上げるものでございます。 今回の質問は三件ございます。 まず一件目は、「地域未来構想20 オープンラボ」への登録について。二件目は、行政手続のデジタル化について。そして三件目は、ICTを活用した教育のデジタル化についてお尋ねをしたいと思います。 まず初めに、「地域未来構想20 オープンラボ」への登録についてであります。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、密を防ぐ「新しい生活様式」を築くため、地方移住を含めたビジネスや経済活動が動き出しております。今後は「新しい生活様式」を定着させるための具体的な施策を本市においても推進し、決して後戻りしない地域社会を構築していく必要があります。国も「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・社会実装とその環境整備を進めていくとしており、特にデジタル・ガバメントは今後一年間が改革期間であると、いわゆる「骨太の方針」にも示されました。また、内閣府が示した「地域未来構想20」の中には、コロナ禍だからこそできる事業、ピンチをチャンスに変える施策が紹介されております。 そこで、デジタル化の果実を本市に大胆に取り入れるとともに、オンライン、テレワーク、ワーケーション、働き方改革や移住、企業や学校の休日を見直し、分散化を図ることによって魅力あるまちづくりと質の高い地域社会を築いていくために具体的な施策が求められております。 一次補正の一兆円は足元のコロナ対策が大きな柱でしたが、二次補正分は家賃補助など事業継続等への支援策はもちろんですが、我が地域の「新しい生活様式」確立に向けて知恵を出さなければなりません。今議会において、専決処分の報告や補正予算で、地方創生臨時交付金を活用した予算が多数計上されておりました。地方創生臨時交付金を担当する内閣府は、重点政策として二十分野を示し、「地域未来構想20」として発表、今回の実施計画の柱は、コロナ対策はもちろん、コロナ禍だからこそできる事業、ピンチをチャンスにする事業であります。それぞれの自治体がやりたいこと、やらねばならないことを明確にし、そして民間の専門家や各府省の専門家とコラボして計画づくりや事業を行うため、内閣府は「地域未来構想20 オープンラボ」を設置し、かつてない取組を進めようとしております。 先日、オープンラボの説明会がウェブで行われ、動画資料がアップされており、私もユーチューブでその内容を拝見させていただきました。その中では、確かな「エリア戦略」と「掛け算戦略」、いわゆる相乗効果、そして「成長戦略」がポイントと説明されておりました。 そこで、お尋ねいたしたいと思います。一次補正一兆円、二次補正二兆円と言われておりますが、本市における地方創生交付金の交付限度額は一体いくらなのかお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ただいまの寺井議員の御質問にお答えさせていただきます。 まず、地方創生臨時交付金の交付限度額についてでありますが、国の一次補正一兆円、二次補正二兆円という中で、本市については、五月に一次枠として二億四千六百九十一万四千円、そして七月に第二次枠として五億六千五百四十三万六千円の配分があったところであります。本市における交付限度額は、この合計で八億一千二百三十五万円ということでありますが、既に総額八億九百四十四万九千円の具体的な事業を明記した実施計画を提出しておりますので、ほぼ全額を事業化しているところであります。ただ、一次補正一兆円のうち三千億円分は三次配分で各市町村に配分されるということになっておりまして、時期はまだ具体的に、これからでありますけれども、これまでの配分状況からすれば、八千万円から一億円程度になるのではないかとは思っております。そして、現在実施中の事業についても執行残が一定あるというふうに思っておりますので、これは三次配分時の実施計画で変更することも可能だというふうに思っております。ただ、一方で今後の国の補正がどういうふうな動向になってくるかが見通せない、そして秋から冬にかけて、ひょっとするとまた感染の波があるかもしれないということを考えると、もし使い果たしていて、そのときに機動的な動きができないということになると、これは困ったことになってしまいますので、やはり一定程度は我々が市民の安全・安心を確保するために動けるように、まだ留保する必要もあろうかと、かように考えております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。いまお聞きしましたところ、総額で八億一千二百三十五万円、これだけの補助金が下りてきたということで、ほぼ全額事業化されているということでございます。全国的には、多額な補助金が下りてきまして、使い道に御苦労されているような町もあるような話も聞く、短期の間に計画書を提出せないかんとか。そういった中で、本市においては生活者の視点に立って困っている方の元にいち早く届けるという政治姿勢の下でしっかりと取り組んでいただいているものと承知しております。 次の質問でございますが、様々な手だてを打っていただいておりますが、臨時交付金を活用した本市の目玉政策はどういう考えでつくられておるのか、これらの点についてお聞かせいただきたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 本市に関しては、たくさん頂ければきちんと使ってみせるというふうに思いますけれども、これまでの取組で申しますと、収入が減少している市内事業者支援で、県から休業要請等が行われたわけでありますが、事業者への上乗せ支援、あるいは家賃の援助など、こういった点については県内でも先駆けてやらせていただいたというふうに思っております。その他子育て世代への支援、小中学校の学習支援、安全確保、避難所環境の充実といったところ、また、感染防止対策等の「新しい生活様式」にも対応した様々な取組はあるんですけれども、特にどういう思いを持ってということで申しますと、やはり私どもはこれまでも支え合うというところを非常に重視してきた中で、コロナ対策においても市民の皆様、事業者の皆様が受けられる困難を共に支え合うことによって、少しでも和らげていけるようにというところを重視しております。 具体的には、市民生活を支援すると同時に、市内事業者の皆さん、特に外出自粛が求められる五月には、テイクアウトとデリバリーを取り組まれ始めた事業者が多かったわけでありますが、こちらに「天理おうちごはん券」の事業をやらせていただいた。あるいは、市内店舗で使用できる買物券を市内全ての世帯に配布した「天理支え合い券」、こちらについては二回発行いたしましたけども、市内で消費活動を行うことによって、家計支援と一緒に市民の皆さんも市内の事業者をサポートしましょうと、こういった考えであります。あるいは現在、感染症対策に取り組む市内飲食店の皆さんを支援するということになっておりますが、これもやはりマスクを外す機会が飲食のときだということで、そこの対策を行うことは、ひいては市民の感染リスクを下げていくんだと、こういったことでございます。そして、コロナ禍で経済的にも影響を受ける大学生をサポートしながら、長期休暇等で学ぶ機会が制約された中学三年生の受験生を支援したいということで、参加費無料の「天理まなび支え合い塾」を実施しておりまして、今月二日からスタートいたしましたけども、非常にいい形で、あたかも兄弟姉妹のように教え合う関係ができておるわけでございますが、こちらは天理市独自の取組ということで多くの報道にも取り上げていただいているところでございます。 今後も国や県の施策もしっかり勘案しながら、やはりバランスを取れた形で施策をやっていくことが必要だ。どこかだけが重いと、みんな大変な思いをしているのにというふうに声も上がってくるわけでありますが、総花的に全て国は金額をもってしても十分でないというところからすると、全体への目配りをやりながらも、ここは特に支えてさしあげないと、あるいは、いま頑張ろうという気持が折れないように、御一緒にやはりここはやっていく必要があるというところをよく見極めながら取り組んでいく必要があろうと思っておりまして、こちらはこれまでも議員各位から様々な御意見をいただいたところでありますが、ぜひまたお気づきの点等をお聞かせいただきながら取り組んでいきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。目玉政策を市長の「支え合うまち天理」という基本姿勢で取り組んでいただいているということはよく分かりました。取り組んでいただいた施策の中には、先駆的に取り組んでいただいていますので、これを手本にされた他市もあったのではなかろうかというふうに承知もしているところでございます。 それでは、次の質問でございますが、内閣府では、先ほども申し上げましたけれども、「新しい生活様式」の実現に向けて「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用して、地域で取り組むことが期待される政策分野を「地域未来構想20」として発表しております。これは、二十の政策分野の取組を推進するためには、一つ、それぞれの分野に関心のある自治体、二つ目には、各分野の課題解決に向けたスキルを有する専門家、いわゆる民間企業、そして三つ目には、関連施策を所管する府省庁の連携が重要であると考え、今般、上記三者のマッチングを支援する「地域未来構想20 オープンラボ」が開設されております。それぞれ関心分野や提供可能な技術、ノウハウ等を登録いただくことにより、特定の分野の取組を進める上でのパートナーとのマッチング機会が増えますので、ぜひ積極的に御活用くださいと内閣府は呼びかけております。 現在の奈良県内のオープンラボ登録自治体は、奈良市、大和高田市、香芝市、葛城市、宇陀市、斑鳩町、高取町ということであります。自治体と専門家と関係省庁をマッチングさせる「地域未来構想20 オープンラボ」への登録について、市長の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) この「地域未来構想20 オープンラボ」につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生交付金の説明を内閣府の方からいただいたときから、我々はポストコロナ社会に向けてしっかり見据えていく必要があるということお聞かせいただき、それはおっしゃるとおりかというふうに思っております。そして、一次補正の一兆円、二次補正で二兆円というのは、これまでの地方創生交付金から比べても圧倒的に額が大きいものになっておりますので、国の考え方として、単に現時点のコロナ対策だけでなく、くり返しおっしゃった言葉で「思い切った投資を」という言葉は出てまいりました。ただ、そこについては、いま現在のコロナ禍に立ち向かって、何とかこれまで育んできたものを大切に、この期間をしのいで頑張っていこうというふうに思われている方々、そして、現時点で非常に困難で、困っておられるという皆さんとのバランスをよく考える必要があろうと思っておりまして、いくら「思い切った投資を」と言われても、やはりそちらの方ばかり比重を置いてしまうということでは、市民あるいは国民的理解がどこまで得られるんだろうというふうに率直に感じたところもございます。 そういった中で、本市については二次配布分までのところは全て事業化をさせていただいているというところでありまして、その中で一部分については、文化・芸術、あるいはリビングシフト、デジタル化というようなキーワードにも対応したような予算を盛り込ませていただいております。ここにおいて、思い切った投資に加えて、やはり民間の知恵をこの機会にしっかり使ってください、これもおっしゃるとおりかなと思うんですけれども、なかなか一朝一夕に民間の皆さんとの関係性というのもできてこないのかなというふうに思っておるところからすると、本市の場合、これらの分野については、これまでに有識者でプロデューサーの形であったり、あるいはまちづくりの協議会であったり、関わっていただいている皆さんが既にいらっしゃるので、その皆さんのお知恵を借りながら、いま配分されている範囲のものは事業としてしっかりやっていこうかなというふうに思っておりますので、オープンラボの登録については今回は見合わせようと思っておるんですけども、もし三次配分、あるいは今後さらにポストコロナの部分にも向けて政府が新たな補正予算をどんどん組んでいくという形になりましたら、またそこのときに議員にもお知恵を頂きながら、外部の専門性の知見をお借りするということについても考えていきたいと思っております。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。市長の方が明確に、まず目先の困っている方をどうするのかということを最優先に考えたという御答弁だったと理解します。私は逆に、一生懸命頑張っていただいているから、こういったオープンラボにもしっかり登録していただいて、天理市として先頭を切って走っていただきたいという思いで、今回はこのような質問を取り上げさせていただいております。また、私も党に所属しておりますので、第三次補正、しっかり組んでいただけるように申し伝えていきたいと思います。 それでは、次の質問に移りたいと思います。行政手続のデジタル化、いわゆるマイナンバーカードの利活用推進について、絞ってお尋ねしたいと思います。 政府が七月八日に示した経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の原案では、国や自治体の行政手続をインターネット上で行えるようにするデジタル化の実現に向けた集中投資が柱の一つとなっております。行政手続のデジタル化とは、膨大な量の書類の準備に追われる従来の行政手続を、国民にとって簡単で便利なものにするという住民目線の取組であります。経済開発協力機構(OECD)も、「より便利な行政サービスを住民に提供すること」が行政手続のデジタル化の意義であると強調しております。ところが、一人一律十万円の特別定額給付金の支給について、政府はマイナンバーカードによるオンライン手続を推奨したのでありますが、一部で混乱が生じ、郵送で申請書類を送った方が早く支給されるというケースもありました。これでは、デジタル化のメリットを感じることはできません。従業員に休業手当を支給する企業への雇用調整助成金のオンライン申請では、個人情報の漏えいが発覚し、安全性の面で利用者に不安を与えました。 政府は二〇二二年度末までに行政サービスを一〇〇%デジタル化するとしております。しかし、株式会社日本総合研究所が五月にまとめた調査によりますと、国の行政手続のうちインターネット上で完結できる手続は、現在のところ僅か七・五%にとどまるということであります。行政手続のデジタル化について、政府はいまこそ本腰を入れて取り組むべきであります。各種行政手続のオンライン申請の鍵を握るのは、マイナンバーカードの普及であります。折しも、カード保有者がキャッシュレス決済を利用すると最大五千円分の特典がもらえる「マイナポイント」の利用申込みが始まっております。 しかし、パソコンから手続する場合、ネット接続に必要なウェブブラウザのうち、インターネット・エクスプローラーしか使えません。Google Chromeなどでは申請ができないという状況であります。また、スマートフォンのアプリで申請したくとも対応機種が限られている、こうした課題もさらに浮き彫りになりました。早急に改善する必要があります。マイナンバーカードの普及促進について並河市長は、令和元年九月議会の私の一般質問に対し、今後は月に一度の夜間窓口延長や休日開庁に加え、普及促進のための体制強化を行った上で、自治会等への出張申請受付を実施するなど、マイナンバーカードの市民への普及に努めつつ、行政電子化の利便性をお届けしたいと考えているところですと答弁されておりました。 そこでお尋ねいたします。政府は、令和四年度までに全国民を対象にマイナンバーカードを普及させることを目標としております。地下一階の特設コーナーには毎日多くの市民がマイナンバーカードの申請に来られておりますが、本市における現在の普及状況はどのような状況か、お尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) くらし文化部長。 ◎くらし文化部長(吉川尚光) 寺井議員の質問にお答えいたします。 マイナンバーカードの市民への普及を図るため、月に一度の夜間延長窓口や休日開庁を実施するほか、今年一月からは、庁舎地下にマイナンバーカードの専用のブースを開設し、四月にはくらし文化部市民課内にマイナンバー推進係を新設するなどの体制強化を図ってきたところでございます。なお、自治会等への出張申請受付につきましては、コロナ禍による公民館の利用制限のために、天理市区長連合会理事会での説明にとどまっているところでございまして、折を見て再開をしてまいりたいと存じます。 また、マイナンバーカードに対しては、情報が監視される、カードの紛失により直ちに情報が流出する等の誤解もいまだに多く見られますので、これらの解消と紛失時の利用停止が二十四時間、三百六十五日可能であること等の周知を図っています。 こうした取組によりまして、一か月当たりの交付枚数は、昨年十二月では百五十四枚でありましたが、八月では八百五十六枚と急増しております。今年八月末時点の本市の累計交付件数は一万五千六百十枚、交付率は二三・八%と、全国の一九・三%を上回る実績となっております。 以上でございます。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) 丁寧な説明ありがとうございます。本市におきましても、八月末時点で一万五千六百十枚、交付率は二三・八%。そして、先日お聞きしましたところ、県内でも三番目の普及率であるということで、大変一生懸命取り組んでいただいていることと承知いたします。 次の質問でございますが、本市においてもコンビニ交付サービスを導入しております。マイナンバーカードを利用することのメリットは、各種証明書がいつでもどこでも取得することができ、その導入のメリットとして、住民の利便性の向上、窓口業務の負担軽減、証明書交付事務コストの低減、これらのことが導入のメリットとされております。 そこでお尋ねいたしますが、本市が行っているコンビニ交付サービスの現状は、発行可能な証明書は住民票の写しと印鑑登録証明書の二種類に限られております。各種証明書の内訳を見ていますと、さらに住民票記載事項証明書、各種税証明書、戸籍証明書、戸籍の付票の写し等も挙げられているわけでございますが、本市におきましてはこの二種類に限られております。市区町村庁内設置箇所におきましては、県内を見てみますと、生駒市と桜井市だけで、奈良市はつながっていないという状況です。今後、発行可能な証明書の種類を増やす考えは。また、いつでもどこでも取得することができるとのことですが、現状と今後の見通しについてお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員御指摘のとおり、コンビニ交付は、マイナンバーカードを使いまして、午前六時三十分から午後十一時までの間なら全国どこからでも証明書を取得できるなど、市民にとって利便性が大きいだけでなく、市役所の窓口業務の負担軽減、行政コストの低減にも資すると考えております。そして、最近では感染症予防のため、「3密」回避や庁舎閉鎖に陥った場合にも証明書を発行できるという市民サービスを継続する観点からも重要な手段だと考えております。コンビニ交付の一か月当たりの平均利用状況が、両証明書の合計で平成三十年度は百六十八通でありましたけれども、令和元年度は二百二十一通、今年度は三百二十八通と急増しております。ただ、本市は県内でも比較的早く、平成二十八年から住民票の写しと印鑑証明のコンビニ交付サービスを実施いたしまして、最新の機種、最新のソフトを利用した後発の市町村の方が広い範囲でサービスを展開している部分もございます。 議員御指摘の点については早急に提供する店舗や自治体の拡張可能な限りで実施するとともに、他の先進自治体の例を参考としつつ、戸籍関係や税関係の証明書など、提供サービスの拡張にも努めたいと考えております。 ◆五番(寺井正則議員) 寺井議員。 ○議長(大橋基之議長) ありがとうございます。私もこのコンビニ交付サービスにつきましては、市長が就任以来真っ先に市民サービスの向上ということで取り組んでいただいたと承知しておりました。ただ、いろいろちょっと調べてみましたら、もっと項目がたくさんあって、後発の市町村の方が充実しておるという実態が分かりまして、後になればなるほどこういったものは新しいシステムが導入されて、より広く深くなっていくものと承知しておりますので、いま申されたように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 それでは、次の質問でございます。マイナンバーカードの制度について再度確認をしておきたいと思いますが、二〇一六年一月一日、マイナンバー制度がスタートいたしました。マイナンバーとは、日本国民全てに十二桁の個人番号を付与し、「国民の利便性の向上」、「行政の効率化」、「公平・公正な社会の実現」を目指し、まずは社会保障、税、災害対策分野に利用範囲を限定して導入された仕組みであります。マイナンバーがあることで、各種情報を正確に名寄せできるため、社会保障・税関係の申請時に行政の必要書類が削減されたり、所得状況が明らかになることで税金の負担を公正・公平に行えたりというメリットがあります。 マイナンバーカードは、本人の写真や住所、そしてマイナンバーが記載された身分証明書になるカードであるだけでなく、ICチップ内蔵の多機能カードとして活用できるのであります。さらにマイナンバーカードを普及促進させるためには、多目的利用により市民にとっての利便性が高まる必要があります。政府は既に令和四年度には健康保険証として使える仕組みなどを整えると公表しております。 各地方公共団体の取組の状況は、印鑑登録証明や証明書自動交付のほか、図書館カード、公共施設の予約、申請書自動作成、健康診断、避難者確認、各種ポイント、救急支援、地域通貨、デマンドタクシー、スポーツ施設利用、病院診察カード、高齢者いきいきカードなど、多目的に利用されてきております。 そこでお尋ねいたします。さらにマイナンバーカードを普及促進させるには、多目的利用により市民にとって利便性が高まる必要があります。マイナンバーカードの多目的利用について、市長の見解をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 議員にも先ほど御指摘をいただきましたが、やはり「骨太の方針」原案等を見ましても、今般のコロナ禍によってデジタル化が確実に加速化してくる。その中において、マイナンバーカードの多目的利用は重要な要素だというふうに思っております。 九月からスタートいたしましたマイナポイントに加えまして、令和三年三月からの健康保健証としての利用のほか、戸籍との連携やハローワークなど様々なシーンでの利活用が予定されており、こうした国の方針にのっとって取り組んでいきたいと考えております。 さらに本市では、令和四年一月から山添村との共同で新たな基幹システムが自治体クラウドとして稼働いたしますので、このシステム更新のタイミングというのは非常に重要でございます。先ほどのコンビニ交付の拡張をはじめ、マイナンバーカードを活用したサービスの前向きな検討の中で、このタイミングにしっかりと対応していきたいと思っております。 マイナンバーカードは、行政デジタル化のインフラでございます。普及後にしっかりと使い倒していくということが大事であると思っております。 以上です。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) 前向きな答弁、ありがとうございます。しっかりと普及促進に、また内容の充実にも取り組んでいただきたいと思います。 それでは、最後に三件目の質問を教育委員会にお尋ねしたいと思います。ICTを活用した教育のデジタル化についてであります。 コロナ禍を契機に、ICT(情報通信技術)を活用した教育のデジタル化が進展することになりました。政府はさきに閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太方針や新たなIT基本計画にGIGAスクール構想の加速を盛り込みました。同構想は、児童・生徒が一人一台のパソコンやタブレット端末を持ち、クラス全員が一度にアクセスできる通信環境の整備を支援するもので、二〇一九年度補正予算に必要経費が計上されました。加えて、二〇二〇年度第一次補正予算には、インターネット接続に伴うモバイルルーターを家庭に貸し出すといったオンライン授業を支援する施策が盛り込まれました。コロナは終息の見通しが立たず、今後も新たな感染症が起こる可能性も否定できない。そんな中、政府が骨太の方針などで教育のデジタル化に一層注力する考えを示したのは、子どもの学びを保障するためであることは言うまでもありません。 改めて確認したいのは、教育へのICT活用はコロナ以前からの取組であり、日本の教育が抱える課題の克服を目的としていることであります。 一つは、国際社会では後れを取っている、ネット社会における情報リテラシー(情報を読み解く力)の向上であります。経済協力開発機構(OECD)が世界の十五歳を対象に二〇一八年に実施した国際学習到達度調査(PISA)では、日本の子どもはネット上の膨大な情報の中から必要なものを探し出し、信頼できるか見極める能力が十分育まれているとは言えないという結果が出ております。こうした現状は改善すべきであります。 もう一つは、障害者や不登校児、外国籍児など特別な支援が必要な子どもへのサポートであります。既に文字拡大や音声読み上げといった端末機能により、障害を抱える児童が学習に取り組みやすくなったり、ネットを通じて不登校児がクラスメートと交流できたとの結果が出ているそうであります。一人も取り残さない教育の実現に果たすICTの役割は大きいと言えます。ただ、ICTに不慣れな教員へのフォローやセキュリティーの確保など課題があり、専門員の配置など国や自治体による後押しが必要とされております。 そこでお尋ねいたします。経済協力開発機構(OECD)が世界の十五歳を対象に二〇一八年に実施した国際学習到達度調査(PISA)では、日本の子どもはネット上の膨大な情報の中から必要なものを探し出し、信頼できるか見極める能力が十分育まれているとは言えないという結果が出ているそうですが、国際社会において後れを取っていると言われるネット社会におけるリテラシー(情報を読み取る力)を向上させることについて、教育委員会の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 寺井議員の御質問にお答えいたします。 新学習指導要領では、児童・生徒の発達の段階を考慮し、言語能力や問題発見・解決能力と並び、情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力であると記述されています。情報活用能力には、情報の収集、情報の整理・比較、情報の発信・伝達、情報の保存・共有、情報手段の基本的操作、プログラミング的思考、情報モラル、情報セキュリティー、統計の資質・能力等が含まれています。 情報の真偽を判断するのには、学校で学ぶ各教科の内容が必要であることを授業を通して伝えていきたい。特に小学校五年生の社会科では「情報社会に生きるわたしたち」という単元があり、新聞を例に情報がどのように記事になるのかを学習いたします。その中で、マスメディアの不確かな情報や誤った情報の発信により、社会に影響を及ぼすことも学習いたします。また、情報社会の問題点として、情報を送る側と情報を受け取る側の双方が注意しなければならないことが掲載されており、インターネットを使う上でのルールやマナーを学習しております。中学校では技術・家庭の技術分野で「情報を安全に利用しよう」の単元で情報技術の特性を理解し、インターネットを活用する際のプラス面とマイナス面について学習します。さらに教科横断型で情報リテラシーを育んでいく必要があります。たとえば、食料自給自足というテーマを設定し、社会で学習した内容を基に家庭科で献立を考え、国語で作文するというような活動です。 朝の活動においては、哲学対話、対話型鑑賞を行い、「考える、話す、聴く」をくり返すことで、考えや考える視点を共有することも有効と考えています。読書活動も必要です。情報モラルについても、地域・家庭・児童・生徒と考えていく必要もあります。情報や考えを整理し、課題発見・解決のために、文字入力、インターネットでの検索、表計算アプリを活用したグラフ作成、統計的な分析、プレゼンテーションアプリを活用した発表、電子ファイルの共有等のスキルも養いたいと考えています。 PC一人一台となります。G Suite for Educationを先生方とともに研究し、子どもたちの情報リテラシー・情報活用能力も高めてまいります。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。現状も踏まえて答弁をいただきました。しっかりと取組をしていただきたいと思います。 次の質問に移りますが、既に文字拡大や音声読み上げといった情報端末により障害を抱える児童が学習に取り組みやすくなったり、ネットを通じて不登校児がクラスメートと交流できたとの効果が出ているそうですが、障害者や不登校児、外国籍児など特別な支援が必要な子どもへのサポートをどのように考えておられるのか。SDGsの中にもあります一人も取り残さない教育の実現に果たすICTの役割は極めて大きいと思うわけですが、教育委員会の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 質問にお答えいたします。 特別な支援が必要な子どもへは、これまでも拡大教科書等の対応を行ってまいりましたが、子どもたちの実態に寄り添いながら、今後導入される機器によりできるようになること、新たなツールが必要になるのか等を検討しながら、より充実した支援を目指してまいります。たとえば、読み書き障害を有する児童・生徒に対して、問題を読み上げてもらうことにより回答ができたり、また再生される音声を聞きながら音読できるデイジー教科書を活用するべく、導入に向けて進めていきたいと考えております。 不登校への対応としましては、昨年度よりzoomで自宅と教室をつなぐ取組、今年度では不登校傾向の生徒を校内で受け入れる別室からGoogle meetで教室の授業を視聴できるようにする取組等を行う学校が出てきております。今後これらの取組を市内全体に広げていきたいと考えております。 外国籍の子どもへの支援としましては、日本語指導等に加えて、G Suite for Educationを活用した音声認識、自動翻訳機能を活用してどこまでできるか、今後研究していきたいと考えています。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) 前向きな答弁、ありがとうございます。より充実した支援を目指していきたいという御答弁でございました。さらに私がいま注目しましたのは、いままで提案もしてまいりましたけれども、特にデイジー教科書を活用するべく導入に向けて取り組んでいきたいというふうに、突っ込んだ御答弁もいただきました。本当にありがとうございます。 それでは次の質問でございます。子どもたちの対策について聞きましたが、併せてICTに不慣れな教員へのフォローやセキュリティーの確保など課題対策や、専門員の配置など、どのように取り組んでいかれるのか、所見をお尋ねしたいと思います。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 質問にお答えいたします。 県は今年度の一学期にオンラインによる研修を実施いたしました。今後さらにオンライン研修を数多く実施する予定ということです。先生方はその研修を可能な限り受講し、自分が担当する授業のクラスルームをネット上に構築するように指示いたします。 G Suite for Educationは、セキュリティーが確保された安全な閉域網と考えております。児童・生徒には、ID、パスワードの管理には注意するように指導していきます。 ICTに関わる人員配置につきましては、現在、まなび推進課ICT担当指導主事が各校を巡回し、授業づくりの支援を行っております。今後、各校におきましてICT担当の教師を中心としたICT教育の推進に努めてまいります。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。ICTに不慣れな教員の方も現状はまだまだたくさんおられると思います。そういった方へのフォローやセキュリティーの確保、また専門員の配置などを適切にお願いしたいと思います。 それでは、最後の問題になると思いますが、文部科学省は、スマートフォンや携帯電話の中学校への持込みについて、原則禁止を維持した上で、条件付きで認める方針を決めました。小学校では、これまでどおり原則禁止は変えないとのことであります。今後は通知を参考に、各学校や教育委員会が可否を決めることになります。既に条件付きで小中学校への持込みを認めている地域もあるそうですが、賛否両論があるだけに丁寧な議論が必要と思われます。 文科省が持込みを認めたのは、スマホなどの急速な普及に伴い、登下校時の緊急の連絡手段として持たせたいという保護者のニーズが高まっているということが背景にあるとのことです。内閣府の調査によると、中学生のスマホ・携帯の利用率は、二〇一七年度時点で六六%に上り、年々上昇している。事故や犯罪、災害の発生などに際し、子どもと直接連携を取れるスマホの有用性を考えれば、学校への持込みを求める保護者の声は理解できます。 一方で課題もあります。校内で紛失・盗難があったときの責任の所在をどうするか。授業の妨げになる可能性もあります。スマホを持つ子どもが会員制交流サイトを通じて犯罪に巻き込まれるケースも増えているそうであります。この点、校内利用を禁止し、学校側が登校時にスマホを預かることや、スマホの危険性を正しく理解できる適切な指導、有害サイトの閲覧を禁止するフィルタリングを保護者が設置するなどの対策を文科省が示しております。 ここで重要なのは、スマホ持込み時のルールづくりについて生徒の声を聞くことであり、保護者や学校の間だけで問題意識を占有せず、生徒自身が当事者の自覚を持つよう促すことがスマホを安全に使うことにつながると思います。折しも、新型コロナウイルスの影響で、オンライン授業の実施などデジタル機器を利用して学ぶ機会が増えております。当然ながら、スマホを持たない生徒もいます。中学校への持込みに関わる議論が所有を強いることにならないよう、学校側の配慮は忘れてはなりません。 そこでお尋ねいたします。スマートフォンや携帯電話の中学校への持込み等について、教育委員会の所見をお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 御質問にお答えいたします。携帯電話は学校における教育活動に直接必要のないものであることから、学校への生徒の携帯電話の持込みについては原則禁止でありますが、四点の事項について、学校と生徒、保護者との間で合意がなされている場合に限り、学校への持込みを認めることとしております。その際は学校で預かるなど、教育活動に支障がないように配慮もしております。 四点の事項を順に申し上げますと、生徒が自ら律することができるルールを、学校のほか、生徒や保護者が主体的に考え、協力してつくる機会を設けること。二つ目は、校内での管理方法や紛失のトラブル等に関する責任の所在を明確化すること。三つ目は、閲覧制限のフィルタリングを保護者の責任で設定すること。そして四つ目は、携帯電話の危険性や正しい使い方を家庭や学校で指導することであります。なお現在、奈良県教育委員会がガイドラインを作成していますので、本市教育委員会といたしましても、奈良県のガイドラインに基づいて方針を固めていきたいと考えています。 ○議長(大橋基之議長) 寺井議員。 ◆五番(寺井正則議員) ありがとうございます。現状、条件付きで持込みを認めておられる。ただ、今後奈良県のガイドラインに基づいて方針をさらに固めていきたいという答弁だったかと思います。今回、この三件、質問事項を上げさせていただきました。いまの大変なコロナ禍におきまして、行政課題でもありましたSociety5.0の時代のスマート自治体構築に向けて行政手続のデジタル化、また、ICTを活用した教育のデジタル化が一気に進む、このような状況でございます。市長におかれましては、言うまでもありませんけども、しっかりとリーダーシップの下、遅れることなく、天理はよその町に先んじて、このようなものはここまでできておりますというぐらいに取り組んでいただきたいということを要望しまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(大橋基之議長) しばらく休憩いたします。午後一時より再開いたします。             午後零時五分 休憩             午後一時零分 再開 ○議長(大橋基之議長) 休憩前に引き続き会議をいたします。 引き続き一般質問を行います。 次に十三番、荻原文明議員。     〔十三番 荻原文明議員 登壇〕 ◆十三番(荻原文明議員) それでは、一般質問を一括方式で行います。市長並びに関係各位にお尋ねいたします。 まず初めに、介護保険制度についてお尋ねいたします。 少子高齢化、生産年齢人口の減少、いわゆる二〇二五年問題と言われる年を目前にして、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目的にしております。本来、包括ケアは人の一生の全ての年代を包括的にサポートするということからすると、全世代型を目標にしなければなりません。地域包括支援システムでいう地域とは、天理市では「高齢者にきめ細かいサービスが提供できる日常生活圏域」としています。小学校区を日常生活圏域と設定しています。そうすると、地域支援コーディネーターと協議体は小学校区を単位として活動するのが目標となります。今後の方針についてお尋ねいたします。 厚生労働省は、要介護一、二の総合事業移行につながりかねない、現在要支援者向けに市町村が実施している「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象を要介護者まで拡大すること、要介護者も自治体の判断でホームヘルプやデイサービスなどの保険給付をやめ、サービスの基準を緩めた「緩和サービス」や専門の介護職によらない「住民主体の支援」などへの置き換えが可能となる要介護者の受給権に関わる重大な制度改変を検討していることが明らかになりました。また、ケアプラン有料化、介護保険自己負担二割三割の対象拡大など、給付抑制と市民の負担増が検討されています。保険制度を守り、市民の負担増を抑える施策が必要となります。これについてどのようにお考えでしょうか。お尋ねいたします。 次に、高齢者の住まい確保についてお尋ねします。 第七期介護保険事業計画でも「生活の基盤となるその人に合った多様な住まいの確保を支援する」と述べています。天理市の高齢単身者は、二〇〇五年、一千四百七十六人、二〇一五年、二千三百四十一人で、十年で一・五九倍となっています。高齢夫婦世帯数は、二〇〇五年、一千八百九十九世帯、二〇一五年、四千五百十九世帯で、十年で二・三八倍となっています。また、毎年特別養護老人ホーム入所待機者は百人を超えています。こうした現状の中で、高齢者によっては、介護保険等で手助けがあれば自立した生活をすることができる介護度の低い高齢者、住民の必要性や要望に合わせた施策が必要です。地域ごとの高齢者の住まいに対するニーズや実態に応じた高齢者の住まいの確保が必要です。高齢者向けの住宅改造資金助成の上乗せ支給、特養等施設入所待機者の解消、介護が必要な人に介護の制度を利用しながら自立して生活するための住宅の確保のための地域密着型サービスの整備の拡充などが必要です。これらについてのお考えをお聞きいたします。 次に、水道広域化についてお尋ねいたします。 奈良県水道広域化が検討されています。水道法では、「市町村は、その区域の自然的社会的諸条件に応じて、その区域内における水道事業者等の間の連携等の推進その他の水道の基盤の強化に関する施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」としています。市町村の住民に対する水道事業に関する基本的な立場を明らかにしています。 天理市の水道事業は、大正十年、初通水し、昭和六年に有限責任丹波市町上水道利用組合設立以来、八十九年間住民に水を供給してきました。住民生活に欠かすことのできない水道事業は、住民に最も近い基礎自治体である市町村の責任で運営するべきです。また、災害時自己水の確保、維持は重要な課題で、浄水場を統合すれば、被災時の影響が広範囲に及ぶことは明らかです。本市の杣之内浄水場、豊井浄水場は維持すべきです。災害時の自己水の確保はどのようにお考えでしょうか。水道水を使っている住民への説明責任を果たし、住民が水道広域化の内容を理解し、納得することが必要です。 公共サービス基本法は、「国及び地方公共団体は、公共サービスに関する施策の策定の過程の透明性を確保し、及び公共サービスの実施等に国民の意見を反映するため、公共サービスに関する情報を適時かつ適切な方法で公表するとともに、公共サービスに関し広く国民の意見を求めるために必要な措置を講ずるものとする。」と定めています。公共サービス基本法に基づき、住民への説明責任、住民参加、透明性をどのように確保するのか。必要な措置を行うことについてどのようにお考えでしょうか。 奈良県の説明では、五月の時点では一体化効果額は五百二十二億円でした。八月には六百六十四億円となっています。また、施設共同化による廃棄費用は含まれているのか。広域化交付金は保障されるのかなど、説明が必要です。こうした基本的な事項で不明な点がある中で、今年十二月から来年一月にかけて「今後統合に向けての協議検討を進める」とした覚書の締結は拙速であると言わざるを得ません。天理市独自の検証に基づく水道経営、水道料金の見通しを持つ必要があります。その上で広域化に参加するのかどうかを判断することが必要です。これらについてのお考えをお尋ねいたします。 次に、公民館の利用拡大と政治教育を中心に、運営についてお尋ねいたします。 「天理市立公民館使用許可基準について」は、語句の定義、使用許可基準、適用基準が不明確な文言が随所に見られることから、抜本的な簡素化、見直しが必要です。「生涯学習社会の実現が重要な課題となっている」と言われて、自発的意思に基づいて、人生のあらゆる時期に必要に応じて自己に適した手段、方法を自ら選び、学習ができるよう多様な学習機会の提供が求められているとして生涯学習法ができて三十年が経過しました。中でも公民館は、住民にとって身近な学習・交流の場として総合的に応える社会教育施設として、地域社会の形成や地域文化の振興にも、住民の日常生活に最も身近な施設としても重要な役割を果たしています。今後も情報化福祉社会に配慮して、施設設備の整備、職員の専門性の向上、運営の弾力化、事業の継続性、総合化、他の施設事業との連携などが必要と言われています。 このような中で、社会教育法の原則は堅持しながら、住民が幅広く使える社会教育法第二十三条の弾力的運用が必要です。そのために使用許可基準の見直しが必要です。見直しをされるかどうか、お尋ねいたします。 次に、自転車・歩行者の移動安全の確保の観点から、市役所前交差点の歩道橋の改善についてお尋ねいたします。 横断歩道橋は、国土交通省の基準で五年の定期点検が行われています。横断歩道橋は、歩行者と車両を立体的に分離し、交通事故から身を守る有力な手段として、安全確保と交通事故の減少に一定の役割を果たしています。市役所前交差点の横断歩道橋は、歩道上に階段があり、かねてより市民から「歩道が狭くなって危険である」という要望がありました。議会審議の中でも、文化センター駐車場に移設するなど、県と協議を開始したいという答弁がありました。これまでのこうした経過を踏まえて、この横断歩道橋は県管理の歩道橋で、その後の経過についてお尋ねいたします。また、今後補修、架け替え、存続、撤去が考えられますが、いずれにしても利用者、住民の合意が必要です。今後、歩行者の安全確保の観点から、どのように検討されるのかお尋ねいたします。 次に、近代遺産、戦争遺跡の調査、記録、保存等についてお尋ねいたします。 この件についてはこれまでも質問をしてまいりました。文化庁は、近代遺跡調査の一つとして「近代遺跡調査9政治軍事」分野を全国的に行いましたが、調査結果は公表されていません。奈良県は、奈良県近代化遺産総合調査を第一次、第二次と行いました。国土交通省は「特殊地下壕緊急実態調査」を行っています。 本市はこうした国や奈良県の調査に併せて、協力して行ってきました。これらは数量の調査程度で、本格的な調査、記録、保存、継承を目的としたものではありません。天理市独自の方針に基づいて本格的な調査記録保存などは行われていません。戦後七十五年、老朽化と戦争体験者の減少が進む中、改めて行政として、公的立場から近代遺産、戦争遺産、戦争遺跡の調査、記録、保存、継承が必要です。 広島市の原爆ドームが一九九五年に国の史跡に指定され、一九九六年に世界文化遺産に登録されました。これにより、近代の戦争遺跡が文化財として広く認識されました。特に、満洲事変から十五年戦争、第二次世界大戦、太平洋戦争は、歴史の大きな転換点となったことは明らかです。これを未来に残すことは重要な意義があります。地域の近代史を考える上でも欠かすことのできない遺跡、遺産であります。近代遺産、戦争遺産、遺跡の調査、記録、保存、継承実施するために、天理市としての方針を明らかにし、そして、報告書などにまとめることが必要です。これについてどのような取組をされるのか、お尋ねいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねいたします。 第一に、小中学校における少人数学級の実施です。学校での感染防止の最低限の三つの基本は、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いです。その一つである身体的距離の確保は二メートル、最低でも一メートルと言われています。四十人近い学級では、二メートルの身体的距離の確保が困難です。このような中で、教員の加配を求める要望がかつてない規模で広がっています。 五月二十二日、日本教育学会が十万人の教員増を提言しました。七月三日、全国知事会・全国市長会・全国町村会の三会長が政府・与党に少人数学級実施を要請、七月三十日、全国の四つの校長会(小中高特別支援学校長)が文部科学大臣に少人数学級を要望など、これまでにない動きが広がっています。七月十七日、「骨太方針二〇二〇」閣議決定は、「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」を「関係者間で丁寧に検討する」としました。八月二十五日、政府の教育再生実行会議では、「少人数学級を進め三十人未満の学級にしてほしい」との意見が出され、異論は出ませんでした。萩生田文科相も予算要求したいという考えを明らかにしたと言われています。八月二十日、中教審答申案の作成に向けた骨子案では、「新しい生活様式」を踏まえた身体的距離の確保に向けて、教室等の実態に応じて少人数編制を可能とするなど、新時代の教室環境に応じた指導体制や必要な施設・設備の整備を図る。国として特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定することが求められる」と述べています。八月二十八日、本市が配布した文部科学省の「教職員をはじめ学校関係者の皆様へ」という文書でも、「文部科学省としても少人数によるきめ細かな指導体制の整備について検討する」と述べています。 少人数学級については、教員の「子どもの話を聞くことができた」、子どもや保護者の「先生が丁寧に勉強を見てくれた」という声に代表されるように、学力向上に効果があるかどうかという議論はありましたが、少人数学級のよさは明らかです。OECD加盟国平均では、前期中等教育では平均一クラスで二十三人です。日本は三十二人で最下位クラスです。これが世界の現実です。天理市では、三十五人以上の学級を解消するためには二人、三十人以上の学級を解消するためには十六人の教員を増やせばできます。子どもたちの学びを保障し、心のケアを充実させるために教職員を増やし、少人数学級を実施すること、三十五人以上学級は早急に解消すること、そのために、定年退職教員や教員免許状を持ちながら教職に就いていない方々を活用することなどを実施することについてお尋ねいたします。 次に、天理市奨学金に給付型をつくることなどの拡充についてお聞きします。 立命館大学の学部生の二・三%が退学を本格的に考えているとのアンケート結果を、立命館大学新聞が二十日までに明らかにしました。「どうするか考えている」が七・五%、退学を視野に入れている学生は九・八%に上った。休学を視野に考えていると答えた学生は二五・六%いたと報道されています。大学生協連の調査でも、経済状況で「非常に不安」、「不安」が計六七・七%という結果が出ています。コロナ禍の下、天理市奨学金に給付型を追加し、拡充することが必要です。これについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 次に、PCR等の検査についてお聞きします。 政府対策本部は感染者が多数発生している地域を前提としていますが、医療機関、高齢者施設等全員を対象に一斉、定期的な検査の実施、地域の関係者を広く検査するなどの方針を明らかにしています。感染を未然に防ぎ、拡大を防止し、重症化・死亡のリスクを回避するために、医療機関、介護施設、障害福祉施設、保育園、幼稚園、学校などの検査体制の拡充が必要です。また、業務等で検査を受けているということも報道されております。奈良県は、九月補正予算で、医療機関、社会福祉施設等の職員に対する検査体制の拡充を図る方針を明らかにしています。 こうした動向を踏まえて、天理市としてもPCR検査等の拡充を図ることが必要ですが、これについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。     〔市長 並河 健 登壇〕 ◎市長(並河健) ただいまの荻原議員の一括質問に順次お答えさせていただきますが、五番の近代遺産、戦争遺跡の保存及び六番の新型コロナウイルス感染症対策としての小中学校における少人数学級、奨学金制度の拡充等については、教育長の方から答弁をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 まず第一に、地域包括ケアシステム、地域支援コーディネーター等の進捗状況についてでありますが、本市では生活支援体制整備事業として、平成三十年度に市レベルの第一層協議体を設置いたしまして、市職員が第一層における生活支援コーディネーターの役割を担い、取組を進めてまいりましたが、本年七月からはより一層事業の推進を図るため、新たに生活支援コーディネーターの配置を含めて社会福祉法人大和清寿会様に業務委託をしたところであります。 配置をされた生活支援コーディネーターは、理学療法士の資格を有する、いわゆるリハ職で地域における通いの場やサロンに携わっており、通いの場の立ち上げ支援や運営支援に関する実績、ノウハウを有した方であります。現在、生活支援コーディネーターとともに通いの場の創出と地域資源を活用した生活支援サービスの提供体制をつくることを目的として取組を進めております。 取組内容といたしましては、介護予防体操の体験会を開催し、通いの場に移管する啓発を行うとともに、通いの場の立ち上げ時にリハ職を派遣するなどの支援も行っているところであります。 また、生活支援サービスの担い手候補として、十名を超える天理教青年会本部会員からボランティアとして協力をしたいという申出をいただいております。同青年会本部とも協働しながら、モデルケースといたしまして、庭の草引きや家具の修繕等の生活支援サービスの提供を予定しているところであります。 今後は、通いの場づくりについて、活脳教室から派生した活脳クラブ等の既存の活動にも介護予防体操を紹介し、総合的な介護予防となるような取組も進めていきたいと考えております。 また、地域資源を活用した生活支援サービスの提供体制づくりについて、既存のボランティア団体の皆様だけではなく、天理教青年会本部のように、本市における多様な地域資源との結びつきも大切にしながら、地域における新たな支え手の発掘を図り、取組を進めたいというふうに考えております。 協議体の設置と生活支援コーディネーターの配置については、地域により密着した事業として展開するに当たり、第二層の協議体の設置、第二層における生活支援コーディネーターの配置や人選等も含め、検討を進めてまいりたいと考えております。ただ、本年はコロナの関係でなかなか集まっていく部分にも制約がありますので、そういった点とのバランスも考えながら進めていきたいと考えております。 続いて、ケアプランの有料化や利用者負担の二割三割負担への拡大という点についてでありますが、ケアマネジメントは、居宅介護支援事業所が在宅の要介護者に対して、ケアプランの作成やサービス事業所との連絡調整等を行うものでございまして、高齢者自身によるサービスの選択、サービスの総合的・効率的な提供等、重要な役割を果たしていると考えております。これは、要介護者等が積極的にサービスを利用できるよう、制度創設時から十割給付のサービスとして位置づけられてきた経緯があります。一部を利用者負担とすることで、制度の持続可能性を確保できるといったメリットもある一方で、有料だからとサービス利用をやめてしまう方が出る懸念も払拭できないということでありまして、ケアプランの有料化や利用者負担の二割三割負担への範囲拡大については、利用者やケアマネジメントに与える影響を考慮しながら、幅広い観点から国全体で検討が行われているところと承知をしております。 次に、要介護一、二の総合事業移行等についてでありますが、既存の介護サービス事業者に加えましてNPOや民間企業等の多様な主体が、介護予防や日常生活支援のサービスを地域の実情に応じて総合的に提供することを目的に、平成二十六年の法改正で事業が創設されました。この改正により、要支援一、二の方の対象の訪問介護と通所介護が個別給付から総合事業へと移行されたわけでございます。要介護一、二、いわゆる軽度者の総合事業への移行については、社会保険料の負担増により中小企業や現役世代の負担が限界に達しており、制度の持続可能性を確保するため、見直しを行うべきという考え方と、一方で要介護一、二の方の中には認知症の方も多くおられ、決して軽度者とは言えないということ、総合事業へ移行した際の対応体制も十分ではなかったといった意見もあり、引き続いてこちらも国全体で検討が行われているものと承知しております。 次に、高齢者の住まいの確保等についてでありますが、介護保険制度による生活環境を整えるサービスとして、住宅の改修に対して二十万円を上限に、費用の七割から九割が支給される居宅介護住宅改修サービスがございます。介護保険制度の創設時においては、制度の周知の目的もあり、上限がありませんでしたが、国の制度に準じて、いまは上限があるという状況であります。要支援一から要介護五までを六段階に分けまして、三段階上がった際にはいったんリセットされ、必要であればもう一度二十万円を限度として住宅改修サービスが利用できることとなっております。また、高齢者の住まいであります特別養護老人ホームには、入所の要件として原則要介護三以上の方に限定されておりますが、状況により市の適切な関与の下、要介護一または二の方も入所できる特例措置や、居住支援法人である事業者等との連携、協働により高齢者が安心して暮らせる住まいの確保等の支援を継続していきたいと考えております。 議員御指摘の、平成三十一年三月に奈良県高齢者居住安定確保計画が策定されたわけでありますが、この計画で高齢者向け賃貸住宅及び老人ホームの供給については、奈良県高齢者福祉計画及び奈良県介護保険事業支援計画に基づき、需要量を勘案しながら供給を促進するとされておりまして、本市においても財政状況や全体のサービス量とのバランスを勘案しながら県とも調整し、ニーズに応えられるように努めてまいります。 続きまして、水道の広域化についてであります。 水道需要の減少に伴う給水収益の減少、増大する老朽化施設の更新及び職員の減少による技術力の低下など、水道事業の経営環境が厳しくなる中、安全・安心な水道水を将来にわたって持続的に供給することを目的に、奈良県から「県域水道一体化の目指す姿と方向性」というものが示されまして、県と市町村で検討を行っているところであります。 議員御指摘のとおり、水道事業は原則として市町村が経営するものでございますが、様々な課題を解決するため、県域水道一体化において事業統合、料金統一を目指すことを県と関係の二十八市町村で議論しているところであります。ただ、自己水の確保については、当初県では統合後早期に県水エリアは県の桜井、御所浄水場と奈良市の緑ヶ丘浄水場の三浄水場に整理するという計画でありましたが、災害時の自己水の確保は重要であると私どもも考えまして、耐用年数等を考慮した本市の浄水場の有効活用を申し入れ、豊井浄水場は令和二十一年、杣之内浄水場は令和三十年以降まで使用するというような形での話になっております。 次に、独自の検証に基づく水道経営、水道料金の見通しでありますが、本市の今後の施設更新計画に沿った投資額を反映した財政シミュレーションは行っております。これと統合した場合の県の試算を比較いたしますと、単独で経営するよりは一体化した方が水道料金の上昇が穏やかになることが予測されておりますけれども、議員御指摘のとおり、施設の除却費等はまだまだ精査が必要な点があると思われ、本市としても指摘をしてまいります。他方で、令和六年度に企業団を設立し、令和七年度から運営する計画で検討が進められていますので、本市として企業団への参加、不参加の判断時には、上下水道事業経営審議会での答申、議会の議決を御相談しながら進めていく形になります。 続きまして、公民館の運営についてでありますが、公民館は、地域の絆づくりの行政において、市民の暮らしに最も近い拠点施設であると考えております。昨今では、活脳教室をはじめとした介護予防や健康づくりなどの福祉の向上、地域で取り組まれている子ども食堂や町カ塾など、地域の絆づくりを目指した取組なども公民館の活動に入ってまいりまして、非常に範囲が広がっていると考えております。 こうした中で、公民館の利用については、社会教育法の中で行ってはならないという行為として、「特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し、特定の者を支持すること。」と明記されておりますけれども、この規定の趣旨は、公民館の政治的中立性を確保するために設けられているものでございまして、平成二十七年六月に「市町村立公民館を政党又は政治家に貸し出すことに関する質問」というのがございまして、国会で総理答弁がございました。こちらでは、「公民館を政党又は政治家に利用させることを一般的に禁止するものではない」という答弁がなされたというふうに認識をしております。そして、教育基本法で「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」と規定をされておりますので、政治活動に関わる利用を一律に禁止することはこの趣旨にも反するというふうに考えております。 こうしたことから、利用者・参加者に制限をかけることなく一般に呼びかけるなど、広く市民を対象にした政治に関する勉強会や講演会等に公民館をお使いいただくことは、基本的に問題ないというふうに考えております。現在運用しております公民館使用許可に関する内規については、これまでの様々な対応の中で規定をされておりますが、こういった社会のニーズと市民理解のバランスを考慮しながら、柔軟に見直していきたいというふうに考えております。 続きまして、国道二五号線と国道一六九号線の川原城交差点の横断歩道橋についてでございますけども、この歩道橋については、東側歩道の南向き階段が歩道幅を広く占有しておりますので、歩道の有効幅が一番狭いところで一メートルしかないということ、そして、この狭くなっている部分が横断歩行者と自転車のたまりになっておりますので、歩道の安全な通行には支障になっているというふうに考えております。 この歩道橋は、階段部の国道一六九号線の歩道とともに県の管理施設でございまして、県の施設台帳では、この市役所の敷地に丹波市小学校があった昭和四十三年に設置され、その後昭和五十四年に小学校が現在の場所に移転するまで通学路に指定をされておった。以降は、歩道橋の利用者は減少しておりますが、現在も天理小学校へ通う児童など、少なからず利用されている状況であります。 この南東側階段の歩道専用については、以前から改善の必要について市民の皆様や議会でも御指摘をいただき、懸案となっております。所管する県の奈良土木事務所においても、平成二十四年頃から、歩行者の安全確保のため階段部分の付け替え案などについても検討されましたが、歩道橋自体の必要性も含めた議論となりまして、現状のまま現在に至ってしまっております。他方、設置後五十年以上が経過しておりますので、全体的に腐食などの老朽化が進んでおり、昨年度に実施された法定点検において対策が必要という判定結果でございましたので、県では、令和三年度より補修設計に着手される予定であります。その中で、南東側階段部分の取扱いについては、歩道橋の利用実態なども調査し、県が具体的な補修の検討を行う中で、市も連携し警察や関係者との協議を行い、歩行者の安全確保ができるように進めたいというふうに考えております。 次に、PCR検査についてでありますが、検査体制に過大な負荷が社会問題となった保健所の負担を軽減しないといけないということで、本市では、天理地区医師会が本市と市内医療機関の協力によりまして「天理地区PCR検査センター」を開設し、六月十五日からドライブスルー方式による検査を週二回、午後に実施しております。これがニーズが高いということで、最近水曜日も加わりまして週三回という形になっておりますが、そして、こちらの運営費用の一部については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、医師会に対して市から補助をさせていただくということになっております。 検査対象となる人は、天理地区医師会に所属するかかりつけ医がPCR検査を必要と診断した軽症者、無症状者を含んでおりますが、そして自家用車で来所可能な方となっておりまして、六月十五日から八月三十一日までに五十名の利用があったところであります。 そして、こうやって取り組んでいる中、この八月に天理大学ラグビー寮生の集団感染がございましたので、これを受けて本市と天理地区PCR検査センターの間で協議を行い、おおむね二週間以内に天理大学ラグビー部員と接触がある方で、行政検査の対象となる濃厚接触者に当たらない方を対象といたしまして、一日当たり最大で二十名のPCR検査を実施することで合意いたしました。この点には、接触が全くなくても不当な扱いを受けるおそれがある方というところについてもお受けしたところであります。そして、行政検査の対象にならないので、本来は自己負担金約二万二千円の費用がかかるわけでありますが、今般の集団感染に対して市民の皆さんの安全・安心を確保することが非常に大事だというふうに判断をいたしまして、その費用の全額は本市で負担をしているということでございます。 この実績といたしましては、八月十七日から二十六日まで十八名の方が受けられたわけなんですけれども、全員の陰性が確認されたということであります。今後また集団感染が発生し、行政検査の対象とならない接触者であるけれども、やはり市民の不安払拭のためにこれは重要だという点がございましたら、受検を希望される方に対して、天理地区PCR検査センターの協力を得ながら、今回同様に対応していきたいというふうに考えております。それ以上のPCR検査体制の拡充というところにつきましては、やはりその検査の人員の問題、あるいは試薬を確保できるかという問題がございまして、全国的にしっかりと議論をしていただくことが必要だと思っております。私個人としては、やはり検査を受ける方に対して迅速に検査を受けられるような体制をもっと進めていくべきだというふうに考えておるわけでございますけれども、現状の天理地区PCR検査センターのキャパからいたしますと、三桁に乗せるということは非常に難しい。外部の検査会社の方から来ていただいてということになれば、相当の費用がかかるだけでなく、結果的に試薬を使ってしまいますので、さらに必要な方々が検査を受けられないような状況にもなりかねない。あるいはその検査する方が、いまは医療従事者に限定されてしまっておるわけでありますが、あまりにも検査のところに人手が足りてしまうと、従来の医療体制、あるいは治療しないといけない方々に対しての部分もなかなか難しい。ですから、そういったことを感染症法上の取扱いも含めて総合的に検討する中でやっていかなければならないというふうに思っておりますけれども、やはり経済社会と両立しながら感染症対策をやっていくには、検査の抜本的な拡充というのは私自身も必要だというふうに考えておりますので、ぜひ議員には全国的に声を上げていただけたらありがたいというふうに考えております。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) 私の方からはまず、近代遺産、戦争遺産の調査、記録、保存等についてお答えいたします。 天理市もここ最近では、昔の日本の姿をとどめていた農村や町並みがさま変わりしつつあります。新しい建物や住宅地が進出し、明治から昭和にかけて造られた建造物も徐々になくなりつつあるのが現状です。また、本市は宗教のまちであり、天理教に関係する施設も多数あります。その中には建造物としてすばらしいものもあり、宗教のまち天理を特徴づけるものですが、それらの施設も時代の流れにより次第に新しい建物へと変わろうとしています。 本市といたしましては、これらの近代遺産が失われる前に調査し、記録を残す必要があると考え、現在、天理教の木造建築の信者詰所から調査を始めております。近代文化と生活につながる遺産として、今後は町並みや橋、鉄道施設などを中心に調べを進めてまいります。 次に、戦争遺跡でございますが、本市には太平洋戦争に関係する遺構がありますが、現在のところ文化財として対象になっておらず、調査、記録するまでに至っておりません。しかし、戦争の歴史、平和の大切さを後の世代に語り継ぐ必要もあり、今後可能な範囲で検討を進めてまいりたいと考えております。 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策としての小中学校における少人数学級と奨学金制度についてお答えいたします。 本年におきましては、学校再開に当たって新型コロナウイルス感染症対策の強化を図りつつ、臨時休業中の学習補充等を含め子どもの学びを保障するため、定年退職教員や教員免許状所有者を活用する児童・生徒学習支援事業に取り組んでおります。各校一名、計十一名を配置する予定です。また、校内の消毒など教員の負担軽減のため、スクールサポートスタッフ配置促進事業にも取り組み、各校一名、計十一名を配置する予定です。 次年度以降は、三十五人学級の解消に向けて県にさらなる加配教員の配置を要望してまいります。また、今年度行っております児童・生徒学習支援事業、スクールサポートスタッフ配置促進事業の継続も要望してまいります。 続きまして、奨学金制度の見直しについてでございますが、本市におきましては、市内在住者で、向学意欲にもかかわらず経済的理由により就学が困難である者に対し、学資の一部を貸与し、もって将来、社会に有用な人物を育成することを目的として、昭和三十五年五月一日に「天理市育英会」が発足しましたが、近年、国・県等の奨学金制度等が充実してきているためか、平成二十四年からは、問合せも含めて貸与希望者がない状態が続いています。最終返済期限である令和十一年までに育英会としての今後について結論づける必要があると考えております。 なお、本市におきましては、新型コロナウイルス感染症の独自の対策としまして、天理市内に居住する大学生、天理市内の大学に通学している大学生が講師となって、休校での遅れが心配な受験を控えた中学三年生に無償で学習支援する「天理まなび支え合い塾」を九月より開校し、来年二月まで指導員として雇用することにより大学生の支援を実施しているところでございます。 ○議長(大橋基之議長) 荻原文明議員。 ◆十三番(荻原文明議員) それでは再質問を行います。 まず、介護保険制度ですが、いま天理市全体で包括支援システムの協議体を設置されておるんですが、先ほど申し上げたように、日常生活圏域でつくることがベターではないかというふうに思います。そういう意味で言えば、本市が定義している小学校区ごとに生活支援コーディネーターを設置するということが必要だというふうに思います。いま言われている第二層は恐らく中学校区ごとだというふうに思うんですが、最終的には小学校区ごとにつくるということが必要だというふうに思うんですが、この点についてのお考えを改めてお尋ねいたします。 それから、いま介護保険制度で検討されているケアプランの有料化とか負担増については、それがもし実施されたときに、天理市として市民の負担増にならないような対応を取っていただきたいということをお願いしているのであって、そのときにどう対応されるのか、改めてお尋ねをいたします。 それから、水道広域化については、十二月から一月にかけて覚書を締結される予定なんですが、本市として覚書に参加する予定なのかどうか。その点についてのお考えを改めてお聞かせいただきたいというふうに思います。 それから、近代遺産、戦争遺産についていえば、可能な範囲でということで、従来の検討しますと言ったところから第一歩踏み込んだ発言、答弁をいただいたわけなんですが、日常の遺跡調査等の中でそういう近代遺産、戦争遺跡を調査するというのは、なかなか仕事量からいっても大変だというふうには思うんですが、戦争の実相を後世に伝えるという点でいえば、これからは文献で伝えるとか、あるいは調査してそれを残して伝えるとか、遺跡で伝えるということしかだんだんとなくなってくるわけですから、それを調査、保存をしなければ、全く将来的には老朽化等で跡形もなくなって、伝承もどこかで途切れてしまうということになってしまいますから、ここはやっぱりこれからそういう戦争遺跡、遺産についてもちょっと本格的に取組をしていかないとならないというふうに思いますので、改めてこの点についてももう少し踏み込んで、どういう体制でいくのかということも含めてお答えをいただければありがたいというふうに思います。 それから、少人数学級についていえば、先ほど申し上げたように、少なくとも三十五人以上の学級を解消しようと思えば、本市の場合は二人教員を増やせばこれを解消できるんです。だから、四十人近い学級では、特に中学生の場合ですと、一メートル、二メートルの距離を取ることはかなり困難です。ですから、その点考慮いただいて、ぜひとも二人の加配をお願いしたいというふうに思うんですが、この点についても改めて御答弁をお願いいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) ただいまの荻原議員の更問に対してお答えさせていただきたいと存じます。 この地域包括ケアシステムの協議体でありますけども、議員おっしゃるように、高齢者の皆様方の生活圏にできるだけきめ細かく対応できるにはこしたことがないというふうに考えておりますが、現時点では、まず生活支援コーディネーターの配置をいたしまして、各地で支え合いしっかりやっていけるような通いの場の立ち上げを支援をしていく。その中で、どういった形で各地域で運営していけばよいかについては、今後しっかりと検討していきたいと考えております。 続いて、国の制度で有料化になった場合はというお話でありますけども、やはり介護保険に関するものの場合は、市民の皆さんの負担にももちろんつながってくるわけでありますから、持続可能にこの制度を回していくに当たって、国が結局どのような検討材料によって判断したのかが見えてこなければ、それにもっともだというふうになるのか、いやいやそうではなくて我々独自の道へ行くというような話ではないかなというふうに思っておりまして、まずはやはり現時点でもそれぞれのメリットデメリットが議論されているところだと承知をしておりますので、しっかりとそれを見ていく必要があるのではないかなというふうに考えております。 そして、広域水道についてでありますけれども、本市としては現時点で予断を持ってお答えすることは難しいかなというふうに思っております。ただ一方で、本市が全て自己水で賄われているのかということになりますと、半分ぐらいの量については県水という形であります。もし仮に本市がこの枠組みから外れた場合に、枠組みに入ったところとそうでないところに対して県水がどのような形で供給されていくのかも分からないわけでございまして、中長期的に市民の皆さんの負担ももちろん考えないといけませんし、短期的にはそういったこともきちんと考えなければいけないだろう。ただ、じゃあスケジュールどおりに単に進めていくことだけがありきかということであれば、先ほども御説明をいたしましたとおり、やはり私どもとしても、杣之内浄水場などは特に整備されたところでございますので、各地でしっかりと災害時にも対応できるためにもこれは残すべきだということを私どもとしても主張いたしまして、それはいったん、仮に統合された場合でもそういう方向性だということであります。まだまだこれは整理されていく部分があるというふうに認識をしておりますので、そういう判断材料が出た時点で、しっかり上下水道の事業経営審議会や、あるいは議会の御意見も踏まえながら考えていく必要があろうというふうに考えております。 また、戦争遺産については教育長の方からも答弁があると思いますけども、これは私も一部誤解があるかもしれませんが、非常に大切なものだというふうに思っております。いったん失われてしまうと、後の世代に平和の尊さ、あるいはその地域の中での戦争というものを語り継いでいくことが非常に難しい。一方で、古代のものと比べますと、自然物ではなくてコンクリートでできておったりする部分が多いですから、非常に劣化の具合も激しかったり、あるいは所在が公有地ではなくて民地だったりするものですから、それをどういうふうに対応していくべきかというのは、ぜひまた御知見も頂きながら考えていくべき課題かなというふうに考えております。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) いま、市長の方からも答弁がありましたが、現在、近代遺跡、特に戦争遺産に関してでございますが、先ほど申しましたように、大切さを次世代に語り継ぐ必要があるということは十分認識しております。ただ、職員の方は古代遺跡中心に発掘調査をしておりますので、担当職員の仕事量等も鑑みて、また文献調査、都市的なものも可能な範囲で検討を進めていきたいと思っております。 また、少人数学級のことに関してでございますが、三十五人以上の四十人以内であれば、机の間隔は、左右一・六メートルは確保できております。また、三十五人以上学級の解消へ向けてということでございますが、先ほども申しましたように、県にさらなる加配の要求はさせていただきます。また、その中で学級定数に関しましては、国・県の意向に沿って指示されたとおりの範囲内で、我々は子どもたちによりよい学びを提供したいと考えております。 ○議長(大橋基之議長) 荻原議員。 ◆十三番(荻原文明議員) 先ほど近代遺産のところで、天理教の母屋を中心に現在は調査活動を行われておるんですが、過去に、私の記憶違いかもわからないんですけど、一れつ会館が取り壊されたときに、これも近代遺産の一つというところで、部材については保存しておくという方針が取られて、いまどこに保存されているのかちょっと分からないんですが、恐らく、天理教の施設でしたから、天理教のどこかに、部材については保管されているのだろうというふうに思うんですが、その辺についても調査いただければありがたいというふうに思います。先ほどちょっと質問漏れましたので、お願いいたします。 それから、水道の一体化については、十二月から一月にかけて覚書締結しないといけないんですよね、いまの予定でいくと。あとは、議会でいくと十二月の議会でしかないのですから、十二月の議会までに検討されて、十二月の議会で覚書の締結に参加するのかどうかということを明らかにされるのか分かりませんが、いまのお考えとしては、覚書は締結していく、その中で議論していくというお考えだというふうに受け取っていいんでしょうか。改めてお尋ねをしたいと思います。 それから、ちょっと前後しますが、少人数学級については市の単独で加配教員を採用していただきたい。いま、退職教員等、資格を持っている方を採用しているということなんですが、その辺をきちんと位置づけてクラス担任をしていただくということは可能なのでしょうか。その点について改めてお尋ねいたします。 ○議長(大橋基之議長) 市長。 ◎市長(並河健) 水道について申し上げますけども、私自身もなぜこのスケジュールなのかは正直よく分からない点がございますけれども、ただその覚書に入っていなければ詳細な制度設計の会話に参加することもできないというふうには聞いておりまして、中長期的に市民生活により負担をかけない道は探っていかなければいけないですし、あるいはそのときの判断ということによって結果的に市民の皆様方に損をさせたというふうになるわけにはいかないというふうには思っておりますので、その中でどういった選択肢が可能であるかという点、あるいは先ほど浄水場のところは申しましたけれども、まだまだこういった点をきちんと整理をしておかないと駄目だろうという点は、本市としてできるだけ述べていきながらやっていかないといかんというふうに思っております。最終的には大切な仲間の雇用形態であったりとか、そういうところにもつながってくる大きな問題だというふうに思っておりますので、軽々に、当然、署名がどうこうという段階ではないというふうには思っておりますけれども、いまの現状からすれば、取り得る選択肢というのはそんなに多くないというのも事実でございます。 ○議長(大橋基之議長) 教育長。 ◎教育長(森継隆) まず、一れつ会館の部材の所在等については、また担当の方に尋ねて議員の方に報告させていただきます。 次に、児童・生徒学習支援事業に参加している定年退職教員と教員免許状所有者についてですが、クラス担任をすることは、制度上は可能だと思いますが、年度途中でクラスを分けて担任させるということはあまり芳しくないものと考えております。また、市採用の教員を二名以上採用して三十五人以上学級の解消に向けて前向きに検討しようとは、現在のところ考えておりません。 ○議長(大橋基之議長) 以上をもって一般質問を終わります。 以上で本日の日程は終了いたしました。 なお、明日より十六日まで休会し、十七日午前十時より再開いたします。 本日の会議はこれをもって散会いたします。                      午後一時五十七分 散会...